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組みも導入している。NMTは優れた自動翻訳アルゴリズムではあるが、学習(訓練)データである対訳データがなければ自動翻訳エンジンはできない。NICTでは、みんなの自動翻訳をオープンする前から、特許庁などと協力して、対訳データの収集に努めてきた。翻訳バンクはこの取組を加速するものである。まず、高精度NMTには、図2に示すように、対訳データが重要である。次に、集積された対訳データを活用して、NICTの汎用NMTを構築することにより、高精度な共通基盤としてのNMTが実現可能である。さらに、「アダプテーション」という技術を適用することにより、さらに高精度なNMTを構築できると考えている。図1 翻訳バンクの概要表1 みんなの自動翻訳の歴史2014/6/19第9回AAMT長尾賞を受賞2014/6/19「みんなの自動翻訳@TexTra®」を一般公開 [1]2014/7/28NICTと特許庁が多言語特許文献の高精度自動翻訳の実現に向けて協力合意2015/3/30科学技術文献データベースの作成に「高精度自動翻訳システム」を導入2016/4/1NICTと特許庁の特許文献の機械翻訳に関する協力の継続について2017/1/18高精度でセキュアな英文特許自動翻訳の提供開始2017/6/28ニューラル機械翻訳で音声翻訳アプリVoiceTra®が更なる高精度化を実現 [2]2017/9/8『翻訳バンク』の運用開始-自動翻訳システムの更なる高精度化に向けて、様々な分野の翻訳データを集積-[3]2018/6/28国立研究開発法人情報通信研究機構とMSD株式会社AI多言語音声翻訳アプリ「VoiceTra®」(ボイストラ)に、医学事典「MSDマニュアル」の10言語翻訳データを活用することで合意2018/7/26“VoiceTra®”の音声翻訳技術が“POCKETALKⓇ W”に採用2019/4/23自動車法規文の自動翻訳をニューラル技術で高精度化~トヨタとの共同研究を通じ、英日・中日翻訳の実用度が向上~2019/9/30IR・金融分野向け自動翻訳エンジンの性能向上を確認~日本財務翻訳との共同研究により実用化へ~2019/10/7大規模翻訳データによる製薬業界向けAI自動翻訳システムの最適化 ~情報通信研究機構(NICT)とR&D Head Clubの共同開発~2020/1/15金融特化型AI自動翻訳システムを共同開発2020/2/14第2回日本オープンイノベーション大賞総務大臣賞「ビッグデータでAI翻訳を高精度化し翻訳産業に革命を起こす翻訳バンク」 [4]2020/12/2オープンソースのコミュニティにNICT「みんなの自動翻訳」を提供2022/3/11金融分野向けの高精度AI翻訳システムを開発~金融庁による翻訳文書の大量収集と、NICTによる深層学習の連携で高精度化~2022/4/27情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格ISO/IEC27001認証を取得~世界水準のデータ管理体制を構築し、音声翻訳技術の研究開発における「AIデータ」収集を強化~58   情報通信研究機構研究報告 Vol.68 No.2 (2022)2 多言語コミュニケーション技術

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