近年、国際化とともに多文化共生の社会になりつつあり、コミュニケーションの内容や手段は多様化している。コミュニケーションのインフラとしての情報通信技術は進化し続けており、全てのモノがインターネットに接続可能となるloT(lnternet of Things)技術により、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)の境目はなくなりつつある。両空間に溢あふれる多種多様かつ膨大な情報(ビッグデータ)を人工知能(AI)技術により解析し、新たな価値を創出することも可能となってきた。これにより、言葉の壁や少子高齢化に伴う人手不足等の社会課題の解決につながる糸口も見つかりつつある。しかしそれでも、ビッグデータから本当に価値のある情報を見いだし、誰もがその情報を駆使して相互に理解し合い、次の行動を適切にとれるようになるかというとそれは容易なことではない。ユニバーサルコミュニケーション研究所(UCRI)では、図1に示すように、誰もが分かり合えるユニバーサルコミュニケーションの実現を目指して、日本語を中心に特定の分野に特化した高品質・大規模データベースを構築し、その基盤を活用した技術、すなわち、「多言語」、「対話」、「行動支援」に関する3つのコア技術及びコミュニケーションの質を向上させる技術の研究開発とそれらの技術の社会実装に取り組んでいる。音声翻訳等の多言語の技術により、相手の言葉が分かり、対話の技術により、相手の言いたいことが分かり、人の行動を予測・分析する技術により、人が次の行動を起こすのを支援することで、誰もが分かり合える社会の実現に貢献できればと考えている。その際、重視し図1 ユニバーサルコミュニケーション研究所における研究開発の概要1 緒言:ユニバーサルコミュニケーション研究所における研究開発について1Introduction: R&D at Universal Communication Research Institute内元 清貴UCHIMOTO Kiyotaka11 緒言:ユニバーサルコミュニケーション研究所における研究開発について
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