3.3総務省委託研究GC計画の推進のため、総務省では「グローバルコミュニケーション計画の推進 -多言語音声翻訳技術の研究開発及び社会実証-」を実施した。これは、社会実装するために必要な4つの技術課題(雑音抑圧技術、翻訳自動学習技術、特殊文字認識技術、位置情報を活用した翻訳精度向上技術)について研究開発を行うとともに、当該研究開発に必要な技術実証を実際のフィールドで実施し、事業化を目指す「I. 多言語音声翻訳技術の研究開発」(2015–2019年度)と、多言語音声翻訳技術を確実に社会に浸透させるため、様々な場面で求められる機能(高齢者、障がい者をはじめ全ての人にとって使いやすいUIなど)を開発する「II. 多言語音声翻訳の利活用に関する開発・実証」(2015–2017年度)からなっていた。NICTは、パナソニック株式会社・日本電信電話株式会社・パナソニック ソリューションテクノロジー株式会社・株式会社KDDI研究所・株式会社みらい翻訳(各社名は受託当時のもの)とともに「I. 多言語音声翻訳技術の研究開発」(最終年度は「災害時における多言語音声翻訳システムの高度化のための研究開発」)を受託し、実証に参画する企業等も含めた14者で「総務省委託研究開発・多言語音声翻訳技術推進コンソーシアム」を2015年に設立して、防災・鉄道・ショッピング・タクシー・医療等の分野を対象に、多言語音声翻訳技術の実用化に向けた研究開発や社会実証、利活用モデルの検討と試行についての活動を推進した。NICTは、翻訳自動学習技術の研究開発やコーパス構築を担当した。2018年度には、岐阜市の自治体・駅・商業施設・市民病院・介護施設・中部国際空港などにおいて、分野横断の大規模実証実験を行った。翻訳精度は、全分野において接遇者、外国人ともに実践で使えるとの評価が得られた。訪日外国人だけでなく、在日外国人対応にもニーズがあることも分かった。本委託の成果として生まれた民間製品・サービスとしては、株式会社日立ソリューションズ・テクノロジーの鉄道向け多機能翻訳アプリ「駅コンシェル」(現在は販売終了)、パナソニック株式会社の多言語音声翻訳サービス「対面ホンヤク」(現在はパナソニック コネクト株式会社から提供)、富士通株式会社のハンズフリーで多言語音声翻訳が可能なソリューション図5 GCP協議会体制図(上:2020年6月まで、下:2020年6月から)872-4 多言語コミュニケーション技術の社会実装
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