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視察等において活用した。2021年度は、逐次音声翻訳から同時通訳への発展状況を示すものとして、現在までの技術で構成したライブ音声翻訳サーバの開発・改良を行い、東京2020大会やCEATECにおける実証実験にて活用するとともに、そのデモシステム・アプリを開発して、展示会で発表した。4.2実証実験GCP協議会の会員を中心に、様々な共同実証実験が行われ、実用化につながっている。VoiceTra®を民間企業や警察、消防、自治体等と覚書を締結し、業務において利用いただくという実証実験を2016年度から2017年度を中心に100件以上実施した。2018年度からは、NICTの技術を活用した民間企業の製品・サービスが多数提供されるようになってきたため、組織での利用は原則としてそちらを利用いただくこととしている。鉄道分野では、2014年に、京浜急行電鉄株式会社が駅改札等での外国語対応のために、いち早く駅・案内所の一部にVoiceTra4Uを配備し活用を開始した。その後、共同研究には株式会社ブリックス・株式会社日立製作所・株式会社日立超エル・エス・アイ・システムズ(各社名は当時のもの)が加わり、その成果を活用した新たな鉄道向け多機能翻訳アプリが2018年 7月に京浜急行電鉄の全駅(泉岳寺駅を除く)に本格導入された。鉄道分野でよく用いるフレーズへの対応を強化して翻訳性能を向上させるとともに、忘れ物の確認の際にタッチパネルを用いた迅速な対応を可能とするUIの工夫や、自由に登録・編集可能な定型文による対話機能、電話通訳サービスへのワンタッチ接続機能等の組み合わせにより、鉄道分野に特化したアプリが実現された(現在はサービス休止)。このほか、大手鉄道会社を含む全国11社でVoice-Tra®の実証実験が実施され、経路案内や道案内等、訪日外国人とのコミュニケーション支援に活用された。警察関連では、岡山県警察本部が2015年からVoice-Tra®を導入するなど、27都道府県警察本部でVoice-Tra®の試験的利用の実績がある。また、岡山県警察本部・沖縄県警察本部・福井県警察本部・徳島県警察本部・警視庁では、独自のサーバ・アプリを使った実運用も行われた。警察庁では、2019年度に独自のサーバを構築し、同庁の高度警察情報通信基盤システム(PⅢ)に多言語翻訳機能を搭載した。全国47都道府県警察の同システムのスマートフォンへ導入されている。消防関連では、消防庁の消防研究センターと共同研究を実施した。非常時の利用では、よく使う文を定型文としてあらかじめ登録し、呼び出せる機能が有用であるため、VoiceTra®に定型文機能を追加した救急隊用多言語音声翻訳アプリ「救急ボイストラ」を開発し図7 VoiceTra®のダウンロード数892-4 多言語コミュニケーション技術の社会実装

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