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た。これは令和4年1月1日時点で、47都道府県の724本部中671本部(92.7%)の消防本部で導入されている。毎年、全国市町村国際文化研修所において研修も実施している。これらの各種実証実験により、分野や使われるシーンによって、専門用語や固有名の追加登録、学習用コーパスの拡張あるいは絞り込みによるカスタマイズ、UIの工夫等が必要となることが明らかになった。状況によって、地図を併用したり、電話通訳サービスにシームレスにつないだりと、自動音声翻訳の技術に、更に別のサービスや技術を組み合わせて総合的にコミュニケーションを支援するような使い方が有用であり、使われるシーンに合わせてベストミックスとなる組み合わせを見つけることが重要である。これらの知見は、4.6に示す民間企業の製品・サービスに活いかされている。さらに、2021年度には、大阪・関西万博を見据えた取組として、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会と協力し、同時通訳技術の現状及び近い将来の利用イメージをアピールするための、講演の字幕表示を行う実証実験に貢献した。4.3東京都との連携東京2020大会の開催地である東京都には「2020年オリンピック・パラリンピック大会に向けた多言語対応協議会」(2014年3月設立、以下「多言語対応協議会」という。)の活動の初期から協力してきた。また、様々なスポーツイベントで実証実験を実施した。2015年2月に開催された東京マラソン2015では、ボランティア等が利用したVoiceTra4Uのログを分析して更なる研究開発にフィードバックした。その後の東京マラソンでも、救護所等でのVoiceTra®の活用等の実証実験を実施した。2016年には、リオデジャネイロ2016オリンピック・パラリンピック競技大会において、東京都と共に、リオデジャネイロに開設された「Tokyo2020ジャパンハウス」の展示会場にて来訪者とのコミュニケーションにVoiceTra®を活用し、有効性の確認と課題の洗い出しを行った。東京国際ユース(U-14)サッカー大会の交流会やジュニアスポーツアジア交流大会、帰宅困難者対策訓練等でもVoiceTra®を活用した実証実験を行った。定期的に活用することにより、使える場面が広がるとともに、自動言語識別の必要性といった新たな課題も明らかになった。また、多言語対応協議会主催の多言語対応・ICT化推進フォーラムでも、毎年出展を行ったほか、多言語字幕付与実験を実施した。東京2020大会の開催時において、NICTの多言語コミュニケーション技術が活用された。これについては図8 東京2020大会組織委員会からの感謝状90   情報通信研究機構研究報告 Vol.68 No.2 (2022)2 多言語コミュニケーション技術

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