933 ●ソーシャルイノベーションユニット■概要ソーシャルイノベーションユニットは、研究開発成果の最大化を図るオープンイノベーション推進本部において、実践的研究開発活動の具体化とともに成果の拡大と深化を目指して設立された。令和2年度は第4期中長期計画の最終年度としてユニット内の研究センター等においては、それぞれが研究開発成果の普及や社会実装に取り組んだ。さらには、戦略的プログラムオフィスが司令塔として戦略の立案と推進、地域連携と産学官連携を推進した。■主な記事ソーシャルイノベーションユニットは、世界最先端のICTを実現して社会全体のICT化をもたらす「ソーシャ ルICT革命」を実現することを目指す司令塔として、オープンイノベーション推進本部内に設置されている。3.10.1戦略的プログラムオフィスは、重点的または迅速に進めることが必要な課題の企画と推進を行うとともに、NICT内や国内外の様々な活動の有機的連携を戦略的に立案し実行することが主な任務である。令和2年度は「ウイルス等感染症対策に資する情報通信技術の研究開発」等の委託研究課題の立案、委託決定など喫緊の課題である感染症対策に対するソーシャルICT技術の実現に取り組んだ。社会に直結するテーマに取り組む研究開発推進センター、ナショナルサイバートレーニングセンター、研究センターでは、具体的課題に対して実践的な研究開発等を実施した。それぞれについて概略を述べる。 3.10.2総合テストベッド研究開発推進センターでは、産学官連携の下で様々なユーザが、最先端のICTを試験的に利用して技術実証や社会実証を行う環境としてのテストベッドの充実を図った。令和2年度は171プロジェクトのテストベッド利用を支えた。さらに、第5期中長期計画に向けた新たなテストベッドサービスとしてNICT Data Centric Cloud Service、Beyond 5Gソフトウェア化環境、サイリアルエミュレーション基盤を立案し、開発計画を構築した。3.10.3ナショナルサイバートレーニングセンターは、セキュリティ人材育成研究センターを改組して平成29年度に新たに設置した組織であり、NICTが有するサイバーセキュリティの技術的知見等を最大限に活いかした実践的なサイバー防御演習(CYDER)等を開発・実施する。令和2年度はオンライン環境などを活用するなど、コロナ禍における新たな演習方法などを構築した。3.10.4ナショナルサイバーオブザベーションセンターは、NICTの技術的知見を活用して、パスワード設定などに不備のあるIoT機器の調査及び電気通信事業者への情報提供に関する業務を実施するために、平成30年度に新たに設置した組織である。令和2年度は計画に基づいた調査を行った。3.10.5知能科学融合研究開発推進センターは、NICTが培ってきたデータ等を活用した産学官が利用しやすい形 での研究開発環境の整備を含め、知能科学領域におけるオープンイノベーション型の戦略的な研究開発推進拠点 として、平成29年度に新たに設置した組織である。令和2年度はAIデータテストベッドの構築や先進的音声翻訳研究開発推進センター(ASTREC)と連携した翻訳バンクプロジェクトの推進などデータの公開や利活用を推進した。3.10.6耐災害ICT研究センターは、災害に強いICT技術や災害時に役立つICT技術といった社会的な要請の強いテーマに取り組んでいる。令和2年度は防災チャットボットを活用した実証実験等を行うほか、災害時等に有効な無線ネットワーク技術を搭載したシステムを自治体が採用・構築するなど、研究成果の社会実装に向けた活動を拡大した。3.10.7統合ビッグデータ研究センターは、センサーなどのIoT機器から得られたデータを横断的・統合的に分析するxDataプラットフォームの研究開発をしている。令和2年度はデータ連携分析に基づく環境品質予測技術の実証実験を行うとともに、実証参加企業の事業化に向けた技術移転の検討を開始するなど社会実装を加速させた。3.10.8テラヘルツ研究センターは、これまで電磁波の発生及び検出が困難であった新たな周波数であるテラヘルツ帯を有効利用するための研究開発と利用促進のための標準化を推進している。令和2年度はB5G技術の実現に向けた通信技術の研究開発を加速させた。このように、ソーシャルイノベーションユニットでは、戦略的プログラムオフィスにおける戦略的な活動と、各研究開発推進センター、各センターにおける実践的な研究開発活動等とを有機的に連携させることにより、一体的に新たな価値を創造した。3.10ソーシャルイノベーションユニットユニット長 木俵 豊3.10 ソーシャルイノベーションユニット3.9 オープンイノベーション推進本部
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