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953  ●ソーシャルイノベーションユニット際プログラムオフィス(WDS-IPO)として選定されており、同業務及びオープンサイエンスの推進活動も戦略的プログラムオフィスの下で実施した。WDS-IPOは10年目を迎えて加盟機関も128機関と増加、グローバルな専門的データの整備と利活用への関心が高まり他の国際機関等との連携も活発化した。またWDS-IPO十周年記念式典(オンライン、令和2年9月23日)が開催され、NICT徳田理事長、日本学術会議武内副会長、国際学術会議Reddy会長(ビデオメッセージ)など関係組織代表のご参列を得た。Reddy会長からは、10年間のNICTの国際貢献や、総務省、日本学術会議への感謝のメッセージなどもいただき、成功裏に終了した(図1)。WDS-IPOに関する覚書期限(令和3年3月)の後については、ISCがあらたなホスト機関の国際公募・選考を行った結果、米国テネシー大学オークリッジ研究所(ORI)が選定された。米国国務省より歓迎の声明が発表されるとともに、令和3年2月にはISC・ORI間の覚書が署名された。NICTは米国側が設置したWDS事業移行対応チームと協力して、無事、日本側のWDS-IPO業務を全うして米国へ業務を移行させた。一方我が国では、内閣府「国際的動向を踏まえたオープンサイエンスの推進に関する検討会」等にもNICTから有識者委員として参加して、WDSの知見及び国際動向を科学技術政策立案に活用し、例えば内閣府「研究データ基盤整備と国際展開ワーキング・グループ第2フェーズ報告書」等へも貢献した。政府間枠組みでは、G7科学大臣会合下の部会「G7オープンサイエンスWG」で村山研究統括が共同議長として「G7オープンサイエンスWGバーチャルワークショップ」をオンライン開催し(令和2年6月)、またWGの将来方向性・報告文書執筆及び令和3年以降のWG活動計画案の作成等に参画した。日本学術会議では、「オープンサイエンスの深化と推進に関する検討委員会」にて村山研究統括は幹事として議論に参加し、またS20(G20加盟国各国アカデミーによる会合)に日本側代表として参加、「デジタル革命」タスクフォースの一員としてデジタル技術や社会におけるICT基盤の将来などに関する議論、G20各国政府へ提出する共同声明の執筆に参加した。NICTの電磁波計測技術により得られた過去のアラスカ、沖縄、東京等の地上リモートセンシングデータベースを保存管理する環境計測データネットワークシステムについて、レガシーシステムから将来の研究機関に求められるオープンシステムへのマイグレーション対応と考察のための研究開発を行った。統合ビッグデータ研究センターとの連携では、従来の活動を基礎としてデータプロベナンス技術の研究開発をA.Rauber氏(ウィーン工科大学)と検討した。コロナ禍におけるデータ利活用のための研究活動としては、VR映像等を遠隔の複数の端末へ同時に配信・制御するシステムを開発し、教育分野で長期の中止を余儀なくされている体験活動を安全に補うために、教員や学芸員を対象としたフィジビリティ・スタディを実施して有用性の高さを実証した(図2)。また、観光分野では、大阪府枚方市(平成31年3月4日に同市とNICTは連携協定を締結)の資料館にて同システムを用いた非接触の館内案内を実現した(令和2年9月30日に同市と共同発表を行った)。国内公共分野のデータ利活用推進の例としては、自治体の各担当部署が保有するデータを庁内横断的に利用することを目指し、安心・安全にデータを共有するためのデータ属性の秘匿アルゴリズムの研究とそれを実装した解析アプリケーションの開発を行うとともに、並行して実証実験を進めた。また、地域の産学公連携で新産業創出や地域課題解決に向けた公開討論会やアイデアソン&ハッカソンに今井研究員がファシリテータとして参画した。図2 遠隔教育に関する教員を対象としたフィジビリティ・スタディの様子3.10.1 戦略的プログラムオフィス

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