HTML5 Webook
110/344

102■概要当室では、最先端のICTを実基盤上に展開して実現性の高い技術検証を行うための大規模実基盤テストベッドと、模擬された基盤を一部組み合わせることで多様な環境下での技術検証を行うための大規模エミュレーション基盤テストベッドについて、それらの実現に求められる研究開発を実施するとともに、基盤環境の構築、運用を行っている。今中長期の目標には、大規模実基盤テストベッドについて、超高速通信環境における多様な通信に対応したネットワーク制御や大容量高精細モニタリング、分散配置されたコンピューティング資源及びネットワーク資源の統合化等の実証基盤技術の確立を掲げた。第4期中長期計画の最終年度となる令和2年度は、より先進的なIoTへの取組として研究開発を進めている、公衆網整備途上環境におけるコネクテッドカーの実現に向けて、車車間通信と狭帯域モバイル通信をハイブリッドに用いる車両Delay Tolerant Networkによるデータ収集プラットフォームを開発し、実車走行実験を通じて同プラットフォームによるデータ収集効率の向上効果を確認した。また、同プラットフォームを用いたアプリケーションの検証を可能とするエミュレーションパッケージを開発し、エミュレーション基盤StarBED上にて自動車1,000台規模での動作を確認した。さらに、次期中長期に向けた新しいテストベッド機能として、P4テストベッドの提供を開始した。また、エッジコンピューティングテストベッドをエミュレーション基盤StarBED上に構築し、パイロットサービスの提供を開始した。加えて、ネットワーク基盤研技術を組み込むとともにセキュアIoTエッジネットワーク構成ミドルウェア「CLINET」を開発し、企業との共同研究にてローカル5Gを視野に入れたWoTスマート空調システム技術実証へ提供した。なお、大規模エミュレーション基盤テストベッドについては、3.10.2.3北陸StarBED技術センターの項を参照いただきたい。■令和2年度の成果1.先進的なIoT基盤技術についての取組当室では、平成30年度から、より先進的なIoT基盤技術に取組のフォーカスを移し研究開発を進めている。令和2年度は、以下の取組を実施した。昨年度までに提案したハイブリッドVDTN (Vehicular Delay Tolerant Network)方式(車車間通信と狭帯域モバイル通信をハイブリッドに用いるVDTN ) を拡充し、データ収集性能の大幅向上を図る方式(図1)を検討・実装した(新規特許1件(自動車製造会社との共同特許)出願、難関国際会議IEEE COMPSAC2020にて発表(シンポジウム内最高得点を獲得(非公開)))。開発した車載コネクテッドカープラットフォームソフトウェアのオープンAPIを規定し、同APIを用いたアプリケーションの動作・性能を再現可能なコネクテッドカーエミュレーションパッケージを開発した(図2)。そして、自動車製造会社と共同でエミュレーション基盤StarBED上にて自動車1,000台規模での動作を確認した。また、ハイブリッドVDTN方式の車載コネクテッドカープラットフォームを動作させるため、海外仕様に近い5.8 GHz帯の車両間通信プロトコル802.11pを用いる実験試験局を開局し、図1 センサーデータ処理・収集方式⾞両が⾃律的にセンサーデータを取得・収集する状況で⼤量に⽣じる冗⻑なデータをリクエストに基づく収集過程で時間・空間的に集約することで収集効率を向上RSU:(Road Side Unit, ⾞両などと通信する無線機能を備えた路側機)時間スロットセンサーデータ収集リクエスト空間的領域収集リクエストに基づき時間・空間的に冗⻑なデータを集約、収集率を向上RSURSU⾃律的なセンサーデータ収集動作move要求応答(収集データ)センサーデータ処理・収集クラウドコントローラ対象領域のデータ収集比較(⾊の濃さはデータの鮮度︓薄い=新鮮)既存方式提案方式3.10.2.2テストベッド研究開発運用室室長  永野 秀尚ほか25名技術実証、社会実証に対応したテストベッドの研究・開発・運用

元のページ  ../index.html#110

このブックを見る