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104■概要テストベッド研究開発運用室においては、北陸StarBED技術センターに設置されている大規模エミュレーションテストベッド(StarBED)を用いた研究開発及びその活用を行ってきた。StarBEDでは実環境で動作する実装そのものを実環境に近い環境で動作させることで、検証の精度を高めるというアプローチを取っており、これをエミュレーションと呼んでいる。平成28年度から開始したStarBED4(スターベッド・フォース)プロジェクトでは、これまで主にICT技術の検証基盤として開発を進めてきたStarBEDの機能を拡張し、IoT技術の検証を可能とするための研究開発を行っている。インターネットや企業内ネットワークで利用されているハードウェア・ソフトウェアをそのまま動作させるエミュレーション技術を使った検証は、環境構築のコストが大きいため、大規模な実験を行うことが一般的には難しい。StarBEDの特徴は、エミュレーション技術を使った、大規模な検証環境を構築し、効率よく精緻な実験を実施できることである。StarBED4プロジェクトでの達成を目指すIoT技術の検証基盤でも、この特徴を活いかした環境の提供を目指す。IoT検証基盤としてStarBEDを飛躍させるためには、移動体やセンサーといったIoTデバイスとその上で動作するソフトウェア、無線環境、温度場や湿度場といった物理場、人や車などの移動体の動きなどをStarBEDの上に再現する必要がある。エミュレーションテストベッドとして、多種多様なIoTデバイスや移動体のハードウェアそのものをStarBEDの一部として用意することも選択肢の1つとして考えられるが、汎用テストベッドとしての柔軟性が失われ、様々な運用負荷が増大するといった懸念がある。これを回避するため、機材としてはこれまでどおりの一般的なPCを用意し、その上に様々な技術を用いて、IoT技術が必要とする環境を構築することとした。図1に示すとおり、ICT技術についてはエミュレーション技術を使って環境を構築し、IoTデバイスの導入については仮想マシンを活用、物理量場と移動体や人の挙動部分については数式等でのモデル化を前提とするシミュレーション技術を用いて再現し、エミュレーション環境とリアルタイムで接図1 StarBED上でのIoT環境の模倣StarBEDのPC群そのままPCを利用利用者の持ち込み機器PC上でセンサなどを摸倣シミュレータで物理現象などを摸倣全体として利用者の要求を満たすリアルな検証環境を連携StarBEDの多数のPCと外部接続設備で実験環境を構築するための資源を提供PCをそのまま利用できない場合は、PC上にセンサデバイスなどを摸倣もしくは外部のシミュレータと連携して必要な要素をテストベッド上に実現実現した要素群を適切に組み合わせ「リアルな」検証環境を構築。実環境では再現不可能な要素も導入。利用者の実験シナリオを実行し、観測・解析。外部接続JGN/WIDEネットワーク環境の摸倣利用者に対して環境構築、制御を制御する仕組みを提供遠隔地からの利用も可能に図2 大規模エミュレーション基盤テストベッドの役割NICTによる基盤技術開発共同研究ユーザとの連携による技術の応用幅広い利用への展開次期中⻑期にてStarBED上で基盤技術のと提供を図るBluMoon(BLEエミュレータ)AOBAKO(電波環境を模倣したIoT検証システム)北陸先端⼤梨農園でのスプレーヤ移動シミュレーション北陸先端⼤(加賀市)IoTデバイスエミュレータSmithsonian(シミュレーション・エミュレーション連携基盤)ARIA(減災オープンプラットフォーム)名古屋⼤、北陸先端⼤九工⼤NETorium(SW無線リンクエミュレータ)およびHW無線リンクエミュレータチャネルボンディング、情報滞留の検証電波伝搬エミュレータプロジェクトにおける機能組込・拡張3.10.2.3北陸StarBED技術センター北陸StarBED技術センター長(兼務)  宮地 利幸本中長期の研究開発成果の高度化及び活用を実施 

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