1053 ●ソーシャルイノベーションユニット合を行う。これにより、人・地形・天候などをも取り込んだ実証環境の構築を実現する。第4期中長期計画は、図2に示すとおり、各種基盤技術を開発するとともに、共同研究ユーザとの連携による技術の応用を行い、次期中長期計画にてStarBED上で基盤技術の提供を図る。■令和2年度の成果第4期中長期計画の目的を達成するため、最終年度となる令和2年度は、以下を実施した。(1)本中長期における開発内容のアピールのためIoTデバイスエミュレータと実機のセンサーを利用したIoTデバイスエミュレータと実環境用センサーが混在する検証環境のデモンストレーション環境を構築した(図3)。(2)令和元年度までに開発した、ソフトウェア無線リンクエミュレータNEToriumとハードウェア無線リンクエミュレータを連動させ、エミュレーション環境内のアプリケーション等で発生したイベントによる位置の変化などに起因する無線パラメータの再計算を可能とする制御ソフトウェアを開発し、さらに検証環境の通信状況の可視化ツールを開発した。(3)ハードウェア無線リンクエミュレータ及びソフトウェア無線リンクエミュレータNEToriumの改善前年度までに開発したWi-Fi及びLTEを対象に48台の無線機を模倣可能なハードウェア無線エミュレータ及び1,000台以上の仮想無線機を模倣可能なソフトウェア無線エミュレータを統合的に管理するソフトウェアを開発。実環境で取得したデータを元に作成した電波伝搬モデルを適用することで、データ取得場所以外でも現実に即した検証を電波を送出することなく可能にした。対応する無線システムとしても802.11p, 802.11acを追加し、模倣可能帯域を1Gbps以上に拡張した。すでに本機能の一部をNICT内外の利用者(大学等)が活用、実環境では検証しにくい項目をエミュレートし、無線技術に関する技術の研究開発加速に寄与した。さらに、NEToriumを用いた実験環境構築のため地図イメージデータから道路などを読み込み、その上で経路制御可能なシステムを実装し、これらを使った実験環境を容易に構築するためのシステム開発を実施した(図4)。(4)次期中長期計画を見据え、循環進化するStarBEDの管理システム実現のため、StarBEDのミドルウェアを刷新、新たな研究成果を容易に組み込むことが可能なアーキテクチャを導入。電波伝搬エミュレーションの機能を実装した。利用者の要望に応じた可視化ツールを導入可能にした。(5)昨年度、複数のシミュレータ・エミュレータの連携基盤 Smithsonian 及びBLE(Bluetooth Low Ener-gy)ビーコンを模倣したBluMoonを利用して実施した単純な環境を、果樹農園でのスプレーヤの動作パターンの検証に発展させ、実際の果樹農園を想定し、さらにIoTデバイスエミュレータを組み込んだエミュレーションを実施した。複数のスプレーヤは周辺路から行動を開始し、オレンジのドットで示した果樹に設置されたBLEビーコンを基に自己位置推定を実施し、散布の開始と終了を行っている。スプレーヤの巡回方法を効率的に決めるためのエミュレーションとして利用を予定している(図5)。図3 IoTデバイスエミュレータと実環境用センサーが混在する検証環境のデモンストレーションPhysical SystemEmulated SystemGateway(App.)FIWAREGateway NodeSensor NodeVirtual Space (Unity)Data Monitor(Grafana)SensorEmulatorLightDrillLatheCut図4 NEToriumを利用した無線エミュレーション環境を構築するためのシステムRoute-ServerImage移移動動シシミミュュレレーーシショョンンInitialize(per-agent)map_node-Location(x,y)①①②②③③近隣ノードを通知する仕組み各Netoriumノードと紐付ける既存方式新方式通信不可能なノードはその他ノードとして制御通通信信範範囲囲図5 果樹農園での農薬スプレーヤの効率移動に関するエミュレーション複数のスプレーヤは周辺路から⾏動を開始し、オレンジのドットで⽰した果樹に設置されたBLEビーコンを元に⾃己位置推定を実施し、散布の開始と終了を⾏う。果樹の列から周辺路に抜けると散布を中⽌し、旋回して周辺路から⾒散布の果樹の列を探す。四隅のコーナーにさしかかると方向を変える。スプレーヤの巡回方法を効率的に決めるためのエミュレーションとして利⽤予定(加賀市の梨農園を想定)スプレーヤスプレーヤスプレーヤコーナー周辺路3.10.2 総合テストベッド研究開発推進センター
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