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1133  ●ソーシャルイノベーションユニット演習の会場に来ることなく、PCのWebブラウザのみで演習が完結するため、特に時間的、地理的な理由により集合演習への参加を見送っていた受講対象者も、容易に受講が可能となる。新たなCYDERANGEは令和2年度のテスト運用を経て、令和3年度よりCYDER事業に本格導入される予定である。2.CYDER演習内容の拡充等当センターは、実践的サイバー防御演習CYDER(CYDER:CYber Defense Exercise with Recurrence)を実施し、行政機関、重要インフラ等の情報システム担当者等が、組織のネットワーク環境を模擬した環境で実践的な防御演習を行うことができるプログラムを提供することにより、年間100回、3,000人を超える演習規模でセキュリティオペレーターを育成している。このうち当研究室では主に、以下のような演習カリキュラムの策定、シナリオ開発、演習環境の構築・運用等を推進している。CYDERでは、全47都道府県に展開する初級レベルの演習(Aコース)、地方公共団体、国の機関、重要社会基盤事業者、民間企業等の中級レベルの演習(Bコース)を提供し、コースごとに受講対象者に応じた演習シナリオを用意した。受講者の学習効果を最大化するため、コースごとの詳細な教育マニュアルを作成し、提供する演習品質の維持向上に継続的に取り組んでいる。受講者からのアンケートや受講後のヒアリングなどによる演習上の改善点の把握、インシデント事例の情報収集なども継続して行い、演習内容が受講者の業務環境に即したものになるよう努めている。また、受講者のキー入力、マウス操作、ウィンドウ操作等をパーソナルデータ保護に配慮しつつ記録するデータ収集エージェントにより収集された膨大なデータを、機械学習等の技術によって分析することで、演習による学習効果を精密に測定することが可能となる予定である。演習で使用する環境は、NICTが有する大規模計算環境「StarBED」に受講者グループごとの専用環境を構築し、受講者が実際の業務で使用するネットワーク環境を模した形で提供した。コロナ禍における緊急措置及びCYDERの周知啓発を目的として、CYDER教材を期間限定で無料提供することで、セキュリティ対応力の底上げに貢献した。また、日程・地域等の関係で演習に参加しづらい地方公共団体などの要望に応えるため、日程・場所を問わず参加できるオンライン演習のβテストを1月から開始した。さらに、総務省が中央省庁向けに実施する情報システム統一研修を昨年度に引き続き受託し、演習を2回(合計38名)実施するなど、活動の裾野を拡大した(3回目は緊急事態宣言発出のため中止)。3.サイバーコロッセオの実施東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会においては、大会関係組織に対し、より高度なサイバー攻撃がされることが予想されており、これに対応するための演習であるサイバーコロッセオでは、令和2年度においては、新型コロナ感染症の流行及び東京2020大会の延期を受けて、日程を順延するとともに、コロッセオカレッジの一部(20科目中10科目)をオンライン受講併用とした。コロッセオ演習では中級A及び準上級Aにおける攻撃解析の実践を追加した。また、大会前年度のため、大会職員の業務スケジュールを考慮し、初級、中級、準上級の各レベルを平行して開催した。サイバーコロッセオは各年の改善により、初級から準上級まで合計7コースの演習と20科目のカレッジを擁する総合的な人材育成カリキュラムとして東京2020大会関連業務従事者のトレーニングを実施。人材育成目標を達成し、本年度で事業を終了した。4.SecHack365の実施平成29年度から開始された若手セキュリティイノベーター育成事業であるSecHack365では、当研究室において事業の企画と指導方針の策定等を担当するほか、当研究室のメンバーもトレーナーを務めている。令和2年度においては新型コロナウィルス感染症の影響でオンラインの開催となったが、選抜された43名のトレーニーに対し、NICTが有する遠隔開発環境「NONSTOP」及び研究・開発に関する知見や人的資源という強みを活用することにより、ほかに類を見ない1年を通して行われる長期アイデアソン・ハッカソン、遠隔研究・開発、発表の組合せによる総合的能力開発プログラムを実施した。3.10.3 ナショナルサイバートレーニングセンター

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