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51序説を開発した。また、話し言葉を対象にした世界最大で10言語・4分野の対訳コーパスを完成するとともに、ブラジルポルトガル語、フィリピン語への拡張を実施した。さらに、書き言葉を対象にした「翻訳バンク」を、新たに自動車、IR・金融の分野に展開するとともに、LINUX FOUNDATIONと連携しオープンソースソフトウエア分野に進出した。②「社会知解析技術」では、平成27年より試験公開してきた大規模Web情報分析システム(WウィスダムISDOM Xエックス)を深層学習版にアップグレードし、試験公開を開始した。また、次世代音声対話システム(WウェクダEKDA)やマルチモーダル音声対話システム(MミクサスICSUS)にもWISDOM Xで使われている深層学習技術や日本語深層学習モデル(BERT)を活用し、開発を進めた。③「実空間情報分析技術」では、xDataプラットフォーム利用者のデータやノウハウを活いかしたデータ連携分析の応用開発を可能にし、自治体やスマートシティと連携した環境問題対策支援の実証実験を国内外で実施、環境モニタリング事業者など実証参加企業の事業化に向けた技術移転の検討を開始した。また、携帯型カメラの画像ログ解析により環境品質情報を収集するMMセンシング技術を開発し、利活用に即したセンシングデータ収集を可能にした。さらに、画像解析を災害対応支援に活かすため、災害関連の映像識別を目的とする課題に取り組み、トップレベルの識別精度を達成した。④「脳情報通信技術」では、アルファ波をはじめとした脳内リズムと認知機能等の関係をより詳細に調べ、アルファ波の特性(周波数や強度など)と認知機能や知覚能力等との関係に関する研究を引き続き推進した。また、脳構造データを計測できる拡散強調MRI及び定量的MRIを組み合わせることで、運動機能や空間注意機能に関わる上縦束(superior lon-gitudinal fasciculus:SLF)と呼ばれる白質線維束の年齢依存性を検証する研究を行い、SLFの中でも加齢による変化が大きい部位とそうでない部位があることを明らかにした。さらに、教育・学習分野での脳波の利活用を目指し、大学、企業と連携して、脳波を利用した外国語(英語)習熟度推定及びニューロフィードバックトレーニングの研究開発などを進めた。(4)サイバーセキュリティ分野①「サイバーセキュリティ技術」では、インシデント分析センターNICTERなど、多種多様なサイバーセキュリティ関連情報を収集・蓄積するサイバー攻撃観測網の拡充を図るとともに、サイバー攻撃誘引基盤STARDUSTなど能動的なサイバー攻撃観測技術の更なる高度化と定常運用を行った。また、組織のセキュリティ・オペレーションの効率化のためのCUREの実現に向けて、各種通信、マルウェア、脆ぜい弱じゃく性情報、イベント情報、インシデント情報等の集約を更に進めるとともに、CUREの更なる高度化と定常運用を行った。NICT委託研究「Web媒介型攻撃対策技術の実用化に向けた研究開発」(WarpDrive)において、実証実験を開始したスマートフォン向けAndroid用センサーにおいて、2020 年11月に2,900ユーザを達成した。②「セキュリティ検証プラットフォーム構築活用技術」では、サイバー攻撃対処能力の向上を目指し、模擬環境及び模擬情報を用いたアトリビューション技術を確立するため、STARDUSTの模擬環境を用いた攻撃者誘引の並列化を更に進め、定常運用を行った。また、物理ノードや仮想ノードを含む模擬環境構築運用基盤技術の更なる高度化として、企業の模擬環境を60並列で自動生成可能なシステムの実現や、模擬環境に実IPアドレス転写を可能にするWormhole開発、NニルヴァーナIRVANA改及びCUREとの連携機能の開発を行った。③「暗号技術」では、新たな社会ニーズを満たす暗号要素技術の研究開発を継続しつつ、IoTシステムのセキュリティ・プライバシー保護に寄与するため、企業等との連携により実装・評価を進め、社会還元に向けた取組を進めた。格子暗号等、量子コンピュータ時代に向けた新たな暗号技術の適切な実装法・運用法を調査検討するプロジェクト(総務省、経済産業省及び独立行政法人情報処理推進機構と連携して実施)であるCRYPTREC(クリプトレック:Cryptog-raphy Research and Evaluation Committees)において、RSA 暗号及び楕円曲線暗号の鍵長に関する指標を提示した。また、AIを活用したプライバシー保護データ解析技術として、複数の参加者が持つデータセットを互いに秘匿したまま深層学習を行うプライバシー保護深層学習システム(DeepProtect)の社会実装を進めた。(5)フロンティア研究分野①「量子情報通信技術」では、本部を中核とした量子暗号ネットワークTokyo QKD Network上の秘匿分散ストレージシステムに、情報理論的安全性を有した第三者認証機能を実装し、顔認証用の生体データの分散保管及び医療情報を扱う標準規格(SS-MIX)1 序説

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