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1333  ●ソーシャルイノベーションユニット1.異分野データ連携分析基盤技術の研究開発複雑化する都市の環境問題に対し、IoTデータ利活用により課題解決に即した状況認識や行動支援を持続可能性高く行えるようにするデータ利活用基盤を開発することで、 Society 5.0によるSDGs達成に貢献することを目指し、多種多様なセンシングデータを収集・統合し、相関の発見や予測を行うデータ連携基盤技術の研究と、それらを実装したデータ連携プラットフォーム(xDataプラットフォーム)の開発を行っている(図1)。令和2年度は、xDataプラットフォーム上の社会実装を進めるべく、プラットフォーム上に自ら研究やハッカソン等で開発した様々なデータ連携分析のベースモデル(環境品質短期予測、移動環境リスク予測、環境睡眠品質予測など)を活用し、プラットフォーム利用者による分散協調開発を行えるようにする技術の開発に取り組んだ。xDataプラットフォームのAPIやツールを用いて、利用者が独自のデータ収集や相関分析・予測モデルの調整などをカスタマイズできるようにする分散開発環境xData Edgeを開発し、実証パートナーのデータやノウハウを生かした共創型の応用開発による課題解決を実践した。その中の一つとして、国内で環境基準が未達成の光化学オキシダントを対象とした大気常時監視業務に応用すべく、xDataプラットフォーム上に開発した環境品質短期予測モデルのカスタマイズを、環境モニタリング事業者がxData Edgeを用いて実施した。観測データの追加収集や、業務フローに合わせた予測モデルパラメータの調整、予測結果のスクリーニング処理の追加等を行うことにより、注意報発令レベルのOx予測精度の改善や誤発令につながる予測の削減など、業務支援に即した性能改善を実現した。こうした、xDataプラットフォームを活用した利用者巻き込み型のアプリ開発を実現したことにより、技術開発のパートナーシップからデータ連携による課題解決のパートナーシップへとフォーメーション構築を進化させた。さらに、同様の取組を、環境問題意識の高いASEAN地域を対象に国際展開することにも取り組み、xDataプラットフォーム上の環境品質予測分析モデルを現地のスマートサービス向け(煙霧越境汚染被害予測など)にカスタマイズし利活用する実証実験に着手した。その他にも、xDataプラットフォーム上のデータセットを用いて、環境品質予測分析モデルのベンチマーキングを行う “Lifelogging for Wellbeing”タスクをMediaEval国際ワークショップで令和2年7~12月に実施したり、データ連携分析をテーマとした国際ワークショップICDAR2020(ACM ICMR2020国際会議併設)を開催するなど、研究コミュニティを巻き込んだデータ連携分析の普及啓もう活動を展開した。2.ソーシャルビッグデータのリアルタイム蓄積・解析基盤の開発(ソーシャルビッグデータ研究連携センター)令和2年度は、ソーシャルビッグデータデータを用いた人間行動解析の研究開発において、ソーシャルメディアからの大規模地域イベントの予測手法の課題に取り組んだ。都市における多様な種類のイベント発生地における数日先までの人出予測を可能とするために、未来のイベントに言及しているTwitter 上の投稿と、イベント発生場所の過去の人出データを組み合わせて予測器を学習させる手法を開発した。勾配ブースティング回帰(GBR)を用いた予測モデルとニューラルネットワーク(Set Transformer)を用いた予測モデルを開発し、携帯電話のGPSデータに基づく実際の人出統計とTwitterデータを用い、東京・神奈川のスポーツ会場・コンサート会場・展示会場・公園・デモ会場・観光地、16か所の人出予測を行う実証実験を行った結果、ベースライン手法(自己回帰モデル、時系列予測モデル(LSTM))と比較し、優れた性能を示した。さらに、人出増加がどのようなイベントにより発生するかをツイート使って分かりやすく示すことも可能にした。3.10.7 統合ビッグデータ研究センター

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