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1433  ●ソーシャルイノベーションユニット2.ラボ利用に関する成果ラボはオープンイノベーション拠点として産学官に開かれたクリーンルーム等の研究施設・装置を提供している。令和2年度は外部の36団体からのラボ利用登録を受けているが、第4期中長期計画の5か年期間で、平均32団体/年から利用登録を受け、延べ782名の非常に多くのラボ利用登録申請を受けた。NICT内外のラボ利用にともなう研究成果件数は、第4期中長期計画期間で、400件近い誌上発表(国際会議プロシーディングやアブストラクト等含む)、600件程度の国内・国際会議発表を数えている。非常に多くの研究成果の創出に寄与できたと考えており、今後もオープン拠点として科学・産業分野の発展に貢献したいと考えている。3.ラボ運用管理のデジタルトランスフォーメーション安心、安全で研究活動に集中できる環境づくりとして、ICTの多様化を推進している。クリーンルーム内の各種異常な状態を早期発見できる監視体制を強化するため、監視カメラ台数や新規のガスや設備機器の監視対象の適正化を行った。またそれらを遠隔監視できるシステム(図2)を構築、在宅勤務でも遠隔で監視できる体制を整えた。さらに、研究者やスタッフの危険薬品への接触を少なくし、危険薬品の保管をより厳格化する目的で、音声認識による鍵開閉システムを構築した。これにより研究者の薬品への接触機会を33%以上削減させることができ、また開閉管理は音声パスワード運用となったことから、簡便で定期的なパスワード変更が可能となった。4.イノベーション創出を目指した技術交流会開催産学官研究者の技術交流の場を形成することを目的として、ラボ利用者を対象とした「先端ICTデバイラボ研究交流会」を例年、研究者間の多様な技術領域をベースとした有機的な交流会を実施してきた。しかしながら新型コロナ感染予防の影響を受け令和2年度の技術交流会開催が困難となった。研究者間での技術の交流として、令和2年度は成果報告書の作成を実施し、連絡先を記載することで質疑応答による技術交流を図ることとした。結果、研究成果44件の原稿投稿を受け、最先端デバイス技術が記載された総ページ数87の有用な成果報告書の発刊に至った。安全・安心を第一としたラボの管理・運営を推進することで、オープンイノベーション拠点として開かれた産学官連携による交流を通した多様性の拡大と、イノベーションに繋がる新たな価値観の創出への貢献を目指している。5.プロセスライブラリの整備オープンイノベーションを推進する観点から、ラボで所有する研究設備及び研究機器を、外部研究機関等に有償にて利用提供している。ラボの特徴であるデバイス作製工程やテラヘルツ波計測評価等のデバイスを開発・評価するための一連の加工・計測手順やノウハウを使用する装置とともにライブラリ化し、プロセスライブラリとして準備している(表1)。利用者の目的とするデバイス加工やデバイス計測に合わせて、そのライブラリから項目を選択することで、装置貸与のみではなく、手順やノウハウを含めて有償にて装置を利用することができる。また国際的な研究開発競争に対応するべく、ラボでは最先端の研究設備を順次導入し、革新デバイスの創生及び開発期間の短縮に努めている。令和2年度には先端微細加工に必須なレーザー露光装置を導入し、マスクレスでデバイス作製可能な柔軟な加工工程を提供している。表1 ラボの提供するプロセスライブラリプロセス名称機能1RidgeLD加工技術半導体レーザ結晶を基に、リッジ導波路型ファブリペローレーザ構造を作製する2Broad-areaLD加工技術半導体レーザ結晶を基に、ブロードエリアレーザ構造を作製する3LED加工技術半導体PN接合結晶を基に、面発光LED構造を作製する4光導波路デバイス加工技術露光パターニングとエッチングにより、半導体・誘電体光パッシブ導波路構造を作製する5PD加工技術半導体PN接合結晶を基に、面受光型PD構造を作製する6LN変調器作製技術拡散導波路型LN光変調器の基礎デバイス構造を作製する7コーティング技術⺟材の表面に屈折率を変調した誘電体多層膜構造や⾦属薄膜を作製する8半導体結晶成⻑技術任意に設計された化合物半導体結晶を成⻑する(受託)9電極パターニング技術任意のウェハへの電極蒸着、パターニング技術10フォトルミネッセンス技術低温における材料の光学特性評価11表面微細加工評価技術原⼦間⼒顕微鏡、電⼦顕微鏡による表面観察12全帯域テラヘルツ時間領域分光評価技術フォトルミネッセンス技術標準帯域から広帯域まで全ての帯域のテラヘルツ時間領域の分光を⾏い、材料等を⾼周波評価するプロセスモデル13標準帯域テラヘルツ時間領域分光評価技術標準帯域のテラヘルツ時間領域の分光を⾏い、材料等を⾼周波評価するプロセスモデル14広帯域テラヘルツ時間領域分光評価技術広帯域のテラヘルツ時間領域の分光を⾏い、材料等を⾼周波評価するプロセスモデル図2 安全運用を目指したクリーンルーム監視システムの構築3.10.8 テラヘルツ研究センター

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