30311.2 国立研究開発法人情報通信研究機構における令和2年度の業務運営に関する計画(令和2年度計画)11中長期計画、年度計画11.2国立研究開発法人情報通信研究機構に おける令和2年度の業務運営に関する計画 (令和2年度計画)序 文情報通信技術(ICT)はすべての社会経済活動の基盤であり、経済成長や社会的課題解決のための様々な手段を実践するプラットフォームとしての役割が、今後ますます重要になっていく。国立研究開発法人情報通信研究機構(以下、「機構」という。)は、情報通信分野を専門とする唯一の公的研究機関として、中長期的視点に立ち、ICTの基礎から応用までを見通す総合的な視点による研究開発を実践的に推進し、その成果の効果的な社会実装を目指していくことにより、我が国の競争力強化と知的財産立国としての発展に貢献するとともに、国際社会の持続的発展にも貢献していく。第4期中長期目標期間においては、研究開発を5つの分野(①センシング基盤分野、②統合ICT基盤分野、③データ利活用基盤分野、④サイバーセキュリティ分野、⑤フロンティア研究分野)で構成して先端技術の研究開発を推進する。また、社会実装を目指した成果創出と展開の勢いを加速するために、技術実証及び社会実証の基盤としてのテストベッドを強化して産学官連携や地域連携などで活用していくなど、オープンイノベーションによる全体的成果の拡大と深化を目指した運営を行うことで、ICTの活用による価値創造に寄与していく。中長期目標期間の最終年度である令和2年度においては、これまでの研究開発成果や現在のICTを取り巻く諸状況を踏まえ、平成28年度に開始した、大学や民間企業では実施できないような長期間にわたり推進すべき基礎的・基盤的な研究開発を着実に推進するとともに、情勢変化に合わせて適宜見直しを行う。また、産学官連携及び地域連携の強化を重視した研究活動基盤の構築を進め、特に人工知能(AI)分野においては、他の国立研究開発法人等との研究連携を推進する。さらに、オープンイノベーションを加速するために、引き続きテストベッド環境の利活用を進めるとともに、我が国の今後の発展の一つの起点となっていく東京オリンピック・パラリンピックの機会をとらえた成果展開を進めるなど、機構の能力と与えられる機会を十分に活かした研究開発活動を推進する。Ⅰ 研究開発成果の最大化その他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置1.ICT分野の基礎的・基盤的な研究開発等1-1.センシング基盤分野⑴ リモートセンシング技術ア リモートセンシング技術・フェーズドアレイ気象レーダー・ドップラーライダー融合システム(PANDA)及びマルチパラメータ・フェーズドアレイ気象レーダー(MP-PAWR)を活用したゲリラ豪雨等の早期捕捉や発達メカニズムの解明に関する研究、予測精度向上に関する研究、実証実験の実施を他機関との密接な連携により推進する。・廉価版モデル(令和元年度開発)による地上デジタル放送波を利用した水蒸気量の観測網を展開し、豪雨予測精度向上に関する研究を他機関との連携により推進する。・観測分解能・データ品質を向上させた次世代ウィンドプロファイラにおけるアダプティブクラッタ抑圧システム(ACS)の実用化に向けた実証実験を行う。・画質(空間分解能等)を限界まで高めた次世代航空機搭載合成開口レーダー(Pi-SARX3)の初期観測及び機能確認を実施する。また、合成開口レーダー(SAR)観測・情報抽出技術の更なる高度化を推進する。・ドップラー風ライダーの水蒸気観測技術を用いた水蒸気ライダーの開発を実施し、技術実証及び性能評価を行う。イ 衛星搭載型リモートセンシング技術・GPM搭載二周波降水レーダー(DPR)及びEarthCARE搭載雲レーダー(CPR)の観測データから降水・雲に関する物理量を推定する処理アルゴリズムについて開発・改良・検証を行う。また、電子走査型雲レーダー、高感度レーダーによる観測を実施し、EarthCARE/CPRの処理アルゴリズムの評価・検証・改良を実施する。・衛星搭載サブミリ波サウンダーのための2THz帯受信機の開発等を引き続き推進する。・惑星探査等を可能にする小型軽量低電力なテラヘルツ探査機に関するフライトモデル等の研究開発を進める。
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