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36■概要当研究室では、多様化する利用環境や求められる通信品質に対応する「革新的ネットワーク技術」と、エンドユーザへの大容量通信を支える「光アクセス基盤技術」の研究開発を行っている。1.革新的ネットワーク技術ネットワークを利用するアプリケーションやサービスからの要求を満たすネットワークを提供する技術の研究開発を行う。具体的には、ネットワーク制御の完全自動化を目指した「ネットワーク構築制御自動化技術」として、各サービスへの仮想ネットワーク資源(リンクの通信速度やサーバの計算能力)の適切な分配、サービス間の資源調停、論理ネットワークの構築等を自動化する技術、ネットワークインフラの構造や通信トラヒック等が変化してもサービスの品質を保証する技術に関する研究を行う。また、ネットワークを流通する大容量コンテンツや、ヒトとモノ及びモノとモノの情報伝達等をインターネットプロトコルより効率良くかつ高品質に行うため、データやコンテンツに応じてネットワークの最適な品質制御や経路制御等を行う「新たな識別子を用いた情報・コンテンツ指向型ネットワーク技術」に関する研究を行う。令和2年度は以下の計画に沿って、研究を実施した。(1)ネットワーク構築制御自動化技術として、ネットワーク資源分配自動調停技術ARCA(Autonomic Resource Control Architecture)に対し、ネットワークモニタリング及び資源調整制御に関して高度なAIアルゴリズムを選択・利用可能とする機能拡張を実施する。さらに、外部連携コントローラー機能を開発し、キャリアが有するネットワークと相互接続し実証実験を行う。また、IoTエッジコンピューティング研究に関し、エッジ・クラウド連携を実現するプラットフォーム・ソフトウェアの開発を行うとともに、データポリシーに基づくインフラリソースの制御技術の開発を行いテストベッド展開を行う。(2)新たな識別子を用いた情報・コンテンツ指向型ネットワーク技術(ICN/CCN:Information/Content Centric Networking)に対して、マルチパス経路選択アルゴリズムやブロックチェーン・ICN連携機能の研究開発を行う。また、当研究室が開発したICN/CCN通信基本ソフトウェア(Cefore)の拡張を行い、シミュレータやテストベッド等を用いた評価を行う。さらに、ハッカソンや各種プロモーションを通じてICN/CCN技術の具現化例や提案技術の有用性を示す。2.光アクセス基盤技術サイバーフィジカル社会の実現に必要となる魅力的な情報通信システムを具現化するためには、ネットワークの大容量化や柔軟性の向上など、情報通信の基盤技術強化が重要となる。およそ数十 km程度の範囲のアクセス網や数 m~十 m程度の範囲に相当するショートリーチなど、より身近な中短距離情報通信では、可動性が求められることから、将来、有線通信と無線通信を融合して調和的に活用する情報通信技術が重要となる。そのため、光と電波(ミリ波やテラヘルツ波などの高周波)をシームレスに利用する革新的なネットワークシステム技術と、それを支える高度な光・電波融合集積デバイス技術の研究開発が重要である。本研究室では光と電波の高度な融合を実現する超小型・機能集積デバイス技術を「パラレルフォトニクス基盤技術」として、また光と電波による有線・無線のシームレス情報通信技術を「100Gアクセス基盤技術」として研究を推進している。令和2年度は以下の計画に沿って、研究開発を実施した。(1)パラレルフォトニクス:光と電磁波(超高周波等)を効率的に融合し、高密度かつ高精度な送受信・交換を実装するICTハードウェア基盤技術として、光・高周波クロストークが制御された高ロバストな送受信モジュール実装技術を開発し、超小型100 Gbaud級対応の光高周波相互変換デバイス及び大容量光モジュール技術及び小型光・ミリ波シンセサイザの高度化ための複数光信号生成・制御に対応した小型ヘテロジニアス集積化デバイス技術の研究を実施し、光・無線融合伝送システム等のサブ伝送システム上での動作を実施する。(2)100Gアクセス:アクセス系において、エンドユーザ3.2.2ネットワーク基盤研究室室長  山本 直克ほか27名Society5.0を形作る革新的なネットワーク基盤技術の創造に向けて

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