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393繋つなぐ●統合ICT基盤分野になることが期待される。光・電気(OE: Optical to Electrical)変換デバイスは、Beyond 5G時代の光・電波融合ネットワークを実現するための主要なデバイスと考えられる。一般に、OE変換デバイスの電気信号出力は、デバイスの高周波化に伴い強度が低下することが知られている。OE変換デバイスの構造・材料的な高度化により光電気変換効率を高めることは一つの研究開発の方向であるが、一方で、光・電波融合という方向性に対する新たな課題解決も重要となる。図3(b)に光・電波ハイブリッド集積デバイス技術による高出力OE変換デバイスの成果例を示す。OE変換デバイスに高周波電気アンプをハイブリッド集積することで、約100倍の出力が可能であることを確認した。Beyond 5G時代を想定したとき、光ファイバに接続された多数のアンテナ局が必要となるため、ハイブリッド集積による高出力OE変換デバイスはキーデバイスとなることが期待される。ただし、OE変換の光デバイス部分は100 GHz以上の非常に広い動作帯域であることに対し、ハイブリッド集積では電気アンプに相当する電子デバイスの動作帯域に律速されるという課題がある。このためハイブリッド集積デバイスの広帯域化では、電子回路と光回路のパラレル的な集積化が重要になると考えられる。(2)100Gアクセス基盤技術総務省から「Beyond 5G推進戦略-6Gへのロードマップ-」が公開され、その中では無線区間を含むアクセス通信速度と同時接続数が5G時代の10倍が目標とされている。無線通信の大容量化には、広い帯域を確保するために周波数が高い電波を利用する必要があり、その結果として無線セル(電波の届く範囲)の縮小化が急速に進むことが懸念されている。このため高周波による無線通信を補完する形で光ファイバネットワークを活用することは避けられない。NICTでは、光と電波のシームレス伝送による100 Gbps級情報通信を実現するための基盤技術を研究ターゲットとしている。本年度、図4に示すように中間周波数帯(IF: Intermediate Frequency)とMIMO(Multi-input Multi-output)技術を高度化することで超大容量光ファイバ無線技術として3×3 MIMO IF over Fiber (IFoF)を開発した。無線区間は90 GHz帯域の中間周波数を活用し、IFチャネルごとの周波数伝送特性に合わせて最適な多値度(16QAMとQPSK)を選び、周波数利用効率を高めた。その結果、周波数多重と空間多重の組み合わせで、わずか13 GHzの帯域幅利用により世界最大級の光ファイバ無線容量130 Gbps伝送に成功した。(3)社会実装へ向けた取組光・電波を融合したデバイス・システム技術は、Beyond 5G時代の基盤技術として期待される。NICTでは産学官連携による社会実装を目指した実証実験を推進している。将来のパーソナルモビリティやコネクティッドカーなどの活用を想定した光・電波融合伝送システムのデモンストレーションを実施した。図5に示すように、実フィールドにおいて、80 GHz帯無線通信機を車載し、信号機付近の車影の歩行者を高解像度カメラで撮影し、その映像を非圧縮1 Gbpsで遠隔の車両へ伝送し、車影からの飛び出しを瞬時に注意喚起を行った。今後も、NICTで研究開発した基盤技術について、研究開発の早期から積極的に産学官連携を図り、新技術の社会展開を推進する。*1 Kubernetesは、The Linux Foundationの米国及びその他の国における登録商標または商標です。図4 100 Gbps級大容量光ファイバ無線技術IFoF技術:中間周波数チャネルごとに多値度を調整空間多重、中間周波数多重などを駆使して世界最⼤級容量の130Gbpsの光・無線シームレス接続を達成3 x 3 MIMO90 GHz130Gbps, 50Gbps (Uplink)RoFsystem光光NW90GHzRadio wave受信端末世世界界最最大大級級中間周波数2048ch16QAM↑↓QPSK~13GHz帯域130Gbps級90GHz帯光ファイバ無線GGPPSS・・EE--bbaanndd無無線線機機<<車車載載側側>>無無線線機機11((垂垂直直偏偏波波))無無線線機機22((水水平平偏偏波波))66mm<<イインンフフララ側側>>条件)車車載載無無線線機機車車載載アアンンテテナナ図5 80 GHz帯無線通信を車載した実証評価3.2 ネットワークシステム研究所

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