573創つくる●データ利活用基盤分野2.ヒューマンアシスト研究課題個々人の運動能力・感覚能力を推定・向上させる技術開発の一環として、高齢者の運動機能低下防止やリハビリテーション等への応用を目指した動作変容システムや仮想人体筋骨格モデルなどの研究開発を引き続き進めるとともに、大阪大学とも連携して、皮質脳波を利用したBMI用の完全埋込型無線脳波計測システムの実現と高度化を目指した研究開発を進めた。皮質脳波計測用電極に関しては、現在臨床用として使用されている表面電極アレイ(電極径約4mm、電極間隔10mm程度)と比較して格段に高密度かつ多点の電極アレイ(電極径0.05mm、電極間隔0.3mm)を、柔軟素材であるパリレンC(ポリクロロパラキシリレン:厚さ0.02mm)を基板として試作した。神経信号処理LSI(64ch、増幅及びAD変換)18個を搭載した基板と表面電極アレイとを直接接続することで、1,152個の電極からの配線数の削減を実現した。連携先の大阪大学における評価実験の結果、試作した高密度多点表面神経電極が、感覚野において5指のマッピングを明瞭に描出可能であることが示された。この結果は先行研究において腕の動きの解読まで示されてきた皮質脳波BMIにおいて、個々の指単位の運動意図のデコーディングの可能性を示すものとして期待される。3.脳情報に基づく評価基盤研究課題昨年度に引き続き、視聴覚や記憶、想起、論理判断等を含む多様な認知課題群を用意し、課題遂行中の脳活動を解析することで、認知機能と脳活動の関係を説明する情報表現モデルを構築する研究を遂行した。実験では、被験者に見る、聞く、記憶する、想像する、判断するといった多種類の認知課題を実施してもらい、脳活動をfMRI装置で測定し、情報表現モデルを構築して解析を行った結果、認知表現と脳領域の関係を示す全脳認知情報表現マップを可視化するなどの成果を得ている。図2開発した高密度1,152 ch柔軟神経電極。基板部に18個の64 ch神経信号処理LSIを搭載。3.5 脳情報通信融合研究センター
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