633創つくる●データ利活用基盤分野ンソーシアムを設立して活動を開始した。本研究開発は、NICTの多言語翻訳技術を発展させ、入力発話の分割点検出技術や多様な情報源を活用した通訳精度向上技術等の基盤技術に加え、実用レベルの自動同時通訳システムを実社会に実装するためのプラットフォームやユーザインターフェース技術の確立を行うものである。VoiceTraを活用した実証実験としては、消防庁消防研究センターとの共同開発した定型文機能を組込んだ救急隊用多言語音声翻訳アプリ「救急ボイストラ」が、令和3年1月1日現在、全国726本部中631消防本部(約87%)で導入、運用されている。警察関連では、令和3年3月末現在、26都道府県の県警で試験的利用が行われている。警察庁では、独自のサーバを構築し、同庁の高度警察情報通信基盤システム(PⅢ)に多言語音声翻訳機能を搭載して、専用のスマートフォン及びタブレットの全国の道府県警への配備が進められている。3.民間企業等への技術移転研究開発成果の技術移転を促進するための展示会は、コロナ禍であったためオンラインでの開催として、NICT特別オープンシンポジウム、CEATEC2020など4件行った。昨年に続き、多言語音声翻訳を利用するアイデアや音声翻訳エンジンAPIを用いた試作品の良さを競う多言語音声翻訳コンテスト(第3回)を総務省と共催で開催し、音声翻訳技術活用の裾野を広げる取組を行った。利用者となり得る企業・団体等に対しては、WEB会議を利用しつつ積極的に周知活動を行った結果、研究開発成果であるソフトウェアやデータベースの直接ライセンス提供先は新たに3件(3者)増え、既存の契約に対象の言語や新機能を追加するといった契約変更も多数行った。NICTの多言語翻訳技術を活用した民間企業の製品・サービスとしては、ソースネクストのクラウド型大型AI通訳機「ポケトークⓇS Plus」、凸版印刷の製薬業界向け翻訳サービス「PファーマトラharmaTraTM」、みらい翻訳の政府機関における多言語自動翻訳システムセキュリティに対応した多言語音声翻訳 API サービスなどが新たに登場した。4.今後の展開令和3年度から始まる第5期中長期目標・計画においては、GC計画2025に基づき、文脈や話者の意図を補い、周囲の状況等の多様な情報源も活用して翻訳の質を高め、ビジネスや国際会議等の場面においても利用可能な実用レベルの自動同時通訳を実現する多言語コミュニケーション技術を研究開発する。我が国の外国人材受入れ等の共生政策を十分踏まえるとともに2025年に開催予定の大阪・関西万博も見据え、新たな社会ニーズや多様なユーザインターフェースに対応した同時通訳システムの社会実装の推進に取り組む。*1 https://www.soumu.go.jp/main_content/000285578.pdf*2 https://www.soumu.go.jp/main_content/000678485.pdf*3 VoiceTraはNICTの登録商標です。*4 GC計画2025の重点15言語:日本語、英語、中国語、韓国語、タイ語、フランス語、インドネシア語、ベトナム語、スペイン語、ミャンマー語、フィリピン語、ブラジルポルトガル語、クメール語、ネパール語、モンゴル語*5 https://gcp.nict.go.jp/図2 オンラインシンポジウムの模様3.6 先進的音声翻訳研究開発推進センター
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