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733守まもる●サイバーセキュリティ分野NICTERの観測結果や、観測から得られた各種統計情報を一般向けに公開しているNICTERWEBをリニューアルし、日本語サイト、英語サイト共に8月14日に公開した(図1)。(3)サイバーセキュリティ・ユニバーサル・リポジトリ技術CURE*1の情報集約や横断分析機能の高度化として、OSINT情報から自然言語処理で情報を抽出する分析自動化技術の開発や可視化エンジンのアップデート等を進め、情報セキュリティEXPOにおいて最新成果のデモ展示を行った(図2)。(4)委託研究「Web媒介型攻撃対策技術の実用化に向けた研究開発」(WarpDriveプロジェクト)において、悪性サイトをブロックするプラグインエージェントによるユーザ参加型の大規模実証実験を継続し、参加ユーザ数は当初目標の10,000名を達成した(令和2年11月)。また、収集したデータを活用して開発された悪性URL到達リスクの低減手法について、トップカンファレンス(Tire-2)の一つであるRAID2020で発表した。(5)標的型攻撃の攻撃者を模擬環境に誘い込み、長期挙動分析を可能にする標的型攻撃誘引基盤(STARDUST)について、延べ12の外部組織での利活用を進めるとともに、アトリビューション実証実験及び検体の解析を継続して実施した。また、サイバー攻撃解析分科会を定期開催し、NICT内外の専門家や参画研究機関と標的型攻撃についての情報共有を活発に行った。2.セキュリティ基盤研究室の活動(1)機能性暗号技術に関し、利便性の向上や安全性の強化などの改良、新たな暗号要素技術の研究開発を精力的に実施し、多くのトップカンファレンス採択や論文誌への掲載がなされた。また、社会実装に向けた活動として、小型衛星・小型ロケット用通信セキュリティ技術の改良とMOMO5号による飛行実験(インターステラテクノロジズ及び法政大学との産官学連携)、効率性・安全性・実装容易性などを兼ね備えた検索可能暗号のライブラリ設計と実験システムの構築を行った。(2)総務省、経済産業省及び独立行政法人情報処理推進機構(IPA)と連携して行っているCRYPTRECの活動として、現代暗号の安全性に対する量子コンピュータの脅威に関する技術報告書をとりまとめ、CRYPTRECのホームページで公開した。(3)耐量子計算機暗号の候補である多変数公開鍵暗号の安全性評価のために、東京都立大学と共同で、多変数公開鍵暗号の安全性評価において解読世界記録を達成した。また、慶應義塾大学らと共同で、量子コンピュータであるIBM Quantumを使用した小規模離散対数問題の求解実験に世界で初めて成功した。(令和2年12月9日プレスリリース)(4)複数の参加者が持つデータセットを互いに秘匿したままでの深層学習を行うプライバシー保護深層学習技術(DeepProtect)について、5銀行が参加する不正送金検知の実証実験の実施体制を構築した。3.研究所共通の活動・「NICT サイバーセキュリティシンポジウム 2021」において当研究所の研究成果を報告サイバーセキュリティ技術に関する最新の動向やNICTの取組を広く一般の方々に発信することを目的として、令和3年2月17日(水)、「NICTサイバーセキュリティシンポジウム2021 ~日本のサイバーセキュリティ研究開発の結節点とは~」を開催した。シンポジウム前半では、招待講演として、耐量子計算機暗号に関する研究活動を精力的に進めている東京大学の高木剛教授による「耐量子計算機暗号の最新動向」と、NICTからは篠原研究マネージャー、井上室長、衛藤室長によるサイバーセキュリティ研究所の最新の研究成果やサイバーセキュリティ統合知的・人財育成基盤構想の取組に関する講演が行われた。さらに後半の部では、井上室長がモデレータを務め、3名の著名なセキュリティリサーチャーをパネリストに招いてのパネルディスカッションを昨年に引き続き行い、今後のサイバーセキュリティ分野の持続的発展に欠かせない若手のセキュリティリサーチャー等をターゲットにリサーチ活動を長く続けることの大切さ・大変さ・モチベーション等に関して議論を行った。本シンポジウムは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、ZoomウェビナーとYouTubeを活用したオンライン開催となったが、合わせて400名を超える視聴があり盛況だった(詳細はhttps://www2.nict.go.jp/csri/plan/R3-symposium/)。*1 CURE: Cybersecurity Universal REpository図2 情報セキュリティEXPOにおける展示3.7 サイバーセキュリティ研究所

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