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833拓ひらく●フロンティア研究分野たほか、16ピクセルSSPD+SFQ多重化信号処理で80%の検出効率を実現するとともに、1 ns時間間隔での高速応答にも成功した。量子通信基盤技術となる窒化物超伝導量子ビットの研究開発では、窒化物フルエピタキシャルジョセフソン接合の作成技術を確立(図2)するとともに、20 μsを超えるコヒーレンス時間を実証した。2.高周波・テラヘルツ基盤技術ミリ波及びテラヘルツ波を利用した 100Gbps 級の無線通信システムの実現を目指したデバイス技術や集積化技術、計測基盤技術等の研究、その信号源や検出器等に関する基盤技術の研究開発を進めている。テラヘルツ集積回路の実現に向けた半導体デバイスや受動素子等の作製技術の開発に関しては、引き続きシリコンCMOS集積回路による300GHz帯の無線受信機の開発を進めた。無線システムシミュレーション、アンテナシュミレーション、無線伝送評価環境を構築し、300GHz対応のシステム開発環境を整備した。また、システム化に不可欠な制御用集積回路を作成するなど、300GHz無線映像伝送システムに必要な要素技術を開発した。超高周波領域での通信・計測システムに適用可能な高安定光源の研究開発に関しては、狭線幅・高安定テラヘルツ帯周波数コムの研究開発を推進した。窒化シリコン微小共振器を用いて光Kerrコム生成に成功し、これを基に100GHz帯のテラヘルツ波の発生、かつ出力/周波数の特性評価を行った(図3)。さらに300GHz超までのテラヘルツ波発生も可能にしたほか、テラヘルツ波検出システムについてはEOポリマーを活用した小型化に取り組み、テラヘルツ波の検出を実証した。3.バイオICT基盤技術QOL(Quality of Life)の向上につながる、生体の感覚に則したセンシングの実現に向け、分子・細胞等の生体材料が持つ優れた特性を活いかした、様々な情報を抽出・利用するための基礎技術の研究開発を進めている。生体材料を用いた情報検出システムを構築する研究・技術開発では、昨年度までのDNAをレールとする人工分子素子において、DNA回路構築のために必須なY字型に分岐した分子ソータの作成に成功、2種類の分子トランスポータが実際に振り分けられることを実証した。生体機能制御・評価技術においては、生体材料の応答を高精度に計測する蛍光顕微鏡技術の研究開発に関し、生体深部観察における光の複雑な屈折を取り除き、分解能を復元する補償光学を、一般的な3次元画像を取得後に実現する新しい計算手法を開発した(図4)。医学/脳科学等の他、広範な分野への貢献が期待される。図2 フルエピタキシャル窒化ニオブ接合のSEM写真と電流-電圧特性(1)0.4 μmφ寸法のフルエピタキシャルNbN/AlN/NbN接合(2)SiO2除去作成技術適用前後の電流-電圧特性99.83699.83899.84099.842-110-100-90-80-70-60-50-40-30Power [dBm]Frequency [GHz]RBW: 10 kHz21144444510020406080100 THz Power /uWTHz radiation power [W]Optical pump power [mW]0.00.51.01.52.02.53.03.54.0 UTC-PD current /mAUTC-PD current [mA]図4 生体深部観察の計算による波面補正技術生物試料 試料像 波面の乱れ 計算で補正 図3 マイクロコムから生成したテラヘルツ信号の評価結果100 GHz信号のスペクトル(左)と100 GHz信号出力の光入力依存性(右)3.8 未来ICT研究所

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