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102■概要】従来の未来ICT研究所のうち、神戸に拠点を置く研究室を統括する組織として、令和3年度から新たに神戸フロンティア研究センターが設置された。未来ICT研究所とその支援組織(総合企画室)の本拠は神戸に所在しており、研究設備、施設等を含む神戸地区の管理運営、センター関連の研究連携なども、支援組織の無いセンターではなく研究所が実施している。以下に研究に関する当センターに所属する5つの研究室の概要について述べるが、その他センターの関係する具体的な活動内容については、研究所が直接実施しているため、研究所概要の神戸関連事項を参考いただきたい。■主な記事】当研究センターは、現未来ICT研究所となる、通信総合研究所(現NICT)の関西支所に原点を求められる。神戸フロンティア研究センターは、研究所の組織拡大に伴い、神戸を拠点とする研究分野のまとまりとして、未来ICT研究所の下に新たに組織された。革新的ICT研究開発を進める未来ICT研究所の中でも、既存技術の延長線上に無い新たな技術の種を創出し芽吹かせるため、最先端融合領域の基礎・基盤研究を、幅広い研究分野にわたり総合的に実施している。そして、研究所設立当初の理念を継承しつつ、設立の地神戸から「未来を拓く」研究を発信していく。未来ICT研究所では、令和3年度より開始された第5期中長期計画の「フロンティアサイエンス分野」の実施を行うが、その中で、当センターでは、5つの研究室体制の下、① フロンティア ICT 基盤技術と、② 先端 ICT デバイス基盤技術に関係する分野の研究開発を担務する。ナノ機能集積ICT研究室では、有機材料を基盤技術とした、超高速光デバイスの基盤研究開発を実施、B5G研究、超高周波研究との連携、応用につながる研究を進めている。超伝導ICT研究室では、独自の超伝導材料を基盤技術として持ち、SSPD等の量子暗号通信応用や、量子ビット等の将来の量子情報通信基盤技術に係る基盤/応用研究を進めている。バイオ系基礎基盤研究では、これまでのバイオ情報システム、センシングなどの研究全般を実施するバイオICT研究室に加え、今中期計画より、生物の行動や記憶の原点を研究解析し、自然知の機能の応用展開を図る、神経網ICT研究室が新しく立ち上がった。前中期では、社会展開の近い研究と位置付けられて研究を進めていた、深紫外ICT研究室では、通信/センシング等の基盤研究も実施しつつ、引き続き殺菌などアフターコロナに向けた小型光源の開発、社会展開を実施した。令和3年度は、第5期中長期計画の初年度にあたり、各研究分野において、明確な計画目標を定め、目標達成へ向けた第一歩を着実に踏み出す重要な1年である。本分野の研究は、「サイエンス」という分野も含め、基礎、基盤の研究を進めることとなるが、計画目標から派生した研究や、融合分野での応用、社会展開への研究成果、方向性も見られ、本研究センターの特徴でもある、多様な成果につながる点も見られている。新たな研究PJの立ち上げ、内外の研究PJや企業との連携も進展しているが、これら詳細、特に融合研究分野、内外の共同研究等については、それぞれの研究所、連携研究先などの報告を参照いただきたい。3.5.1神戸フロンティア研究センター研究センター長  久保田  徹

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