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4るための到着角度変動や受信電力の確率分布などの重要なチャネル特性や数値データを取得・解析し、ドローンのホバリングの影響に対する光精密追尾技術の有効性を実証した。また、現在3GPPで標準化が進められている衛星5G技術を活用した地上・衛星ネットワークの連携を目的として、欧州宇宙機関(ESA)との衛星5G/B5G共同トライアル並びにNICT委託研究を統括し、日本初の衛星リンクを含む日欧の国際間長距離5Gネットワークの接続実験及び日欧間衛星5G統合制御を実証した。⑥周波数300 GHzを超えるようなテラヘルツ帯の伝送評価技術の実現を目指してテラヘルツ通信用アン テナの特性評価技術の構築を行い、様々なアンテナ放射パターン計測などを実施するとともに、これらの成果を基にテラヘルツ帯スペクトラムの国際標準化に向けて、ITU-RやIEEE802への寄書などの活動を行った。⑦タフ無線環境における電波伝搬予測技術の研究開発に着手し、カメラ映像から受信信号強度を予測する手法の原理検証と屋内実験を行い、将来の群ロボット遠隔制御に利用できる見込みとなる1秒先の強度予測誤差を3 dB以内とする確率が95%以上になることを確認した。また、MEMSセンサを利用したインフラサウンド(可聴域以下の音波)観測モジュールを開発し、宮城県内に設置した4か所の計測データを日本気象協会に提供して公開した。 サイバーセキュリティ分野では、①サイバー攻撃対処能力の絶え間ない向上と多様化するサイバー攻撃の対処に貢献するための「サイバーセキュリティ技術」、②社会の持続的発展において欠くことのできない情報のセキュリティやプライバシーの確保を確かなものとするための「暗号技術」、③国の機関や地方公共団体等のサイバー攻撃への対処能力の向上に貢献するための「サイバーセキュリティに関する演習」、④サイバーセキュリティに関する情報分析・人材育成等の産学官連携の中核的拠点形成を目的とした「サイバーセキュリティ産学官連携拠点形成」、⑤IoT機器のサイバーセキュリティ対策のための「パスワード設定等に不備のあるIoT 機器の調査」等を進め、以下の成果を得た。①サイバー攻撃統合分析プラットフォーム『NIRVANA改』の内部モジュールをすべてIPv6対応にし、IPv6ネットワークの統一的な可視化に世界で初めて成功した。また、サイバー攻撃誘引基盤『STARDUST』の並行ネットワーク構築機能を強化し、テレワーク、クラウド、制御システム等、仮想・物理混在環境の模擬を可能にした。②情報理論的に安全な小型衛星・小型ロケット用通信セキュリティ技術を観測ロケットMOMOv1に搭載し、機体から地上局に飛行状況を伝送する実用チャネルにおいてセキュア通信の実証実験に成功した。また、テレワークで活用されるビデオ会議システムのエンドツーエンド暗号化方式の安全性評価を実施し、ZoomやWebexの脆弱性を発見・脆弱性を悪用した攻撃手法・防御対策を提案した。③実践的サイバー防御演習「CYDER」において、オリパラ関係者向け演習「サイバーコロッセオ」のレガシーを生かしたCコース(準上級)を新設し、高度なセキュリティ人材の育成に貢献したほか、オンラインAコースを新設し、時間・地理的要因で受講困難な方への受講機会を提供した。また、公的機関初となる情報処理安全確保支援士向け特定講習として、実践サイバー演習「RPCI」の提供を開始した。さらに、25歳以下の若年層を対象に、NICTの研究開発のノウハウや、実際のサイバー攻撃関連データを安全に利用できる環境を活いかした、セキュリティイノベーター育成プログラム「SecHack365」を実施するとともに、修了生の活動継続の促進とコミュニティ継続を目的とした修了生イベント「SecHack365 Returns2021」をオンライン開催した。④サイバーセキュリティ産学官連携拠点において必要となるハードウェア基盤設備の設計・調達・構築を行うとともに、4つのサブプロジェクト “Co-Nexus A/S/E/C” を立ち上げ、令和5年度を目途に立ち上げを予定しているアライアンスを見据えた体制の構築を開始し、37組織の参加申し込みがあった。⑤Telnet/SSHに対して、容易に推測可能なID/パスワードによるログイン可否の調査(特定アクセス調査)を実施し、注意喚起対象として計21,024件の通知をISPに対して送付し、ISPから利用者に対する適切な注意喚起につなげた。継続した調査と注意喚起の実施により、注意喚起対象数は2022年3月時点まででピーク時(2021年12月)から17%減少し、日本国内に存在するサイバー攻撃に悪用されるおそれのある機器の削減に貢献した。 ユニバーサルコミュニケーション分野では、①文脈や話者の意図、周囲の状況等の多様な情報源も活用した、ビジネスや国際会議等の場面においても利用可能な実用レベルの自動同時通訳を実現する「多言語コミュニケーション技術」、②高度な深層学習技術等を用いて、イン

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