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1173●フロンティアサイエンス分野号・物理レイヤ暗号技術の方式検討と数値解析を行い、搭載機器の要件定義を完了した。また見通し通信QKDに関しての初めての理論構築に成功した。社会実装試験等を通じて量子暗号技術の標準化を進めた。具体的には電子カルテ、ゲノムデータ、企業機密情報、金融データに対しTokyo QKD Network上の量子セキュアクラウド等を用いて、 Proof of Concept(POC)を進めた。特に金融データに関し、野村證券、野村HDと共に量子暗号の低遅延性、大容量耐性、連続稼働特性のパフォーマンステストを実施し、有用性を実証した。さらにITU-T、ISO/IEC、ETSIにて標準活動を精力的に進めている。ITU-Tでは日本技術を骨格とする8勧告体系を整備した。マルチベンダによるQKDN構築と事業者間接続に必要なプロトコルとインタワーキングの勧告草案の検討を進めている。ISO/IECでは評価・検定法に関する草案に対し世界でトップの修正コメントを提出している。量子鍵配送装置の評価検定の指針となる日本版Protection profile (PP) をEAL2をターゲットとしての第一案の作成を完了した(図2)。2.量子ノード技術量子計測標準技術として、イオンを二次元的に配列して光時計の安定度を向上させる新型イオントラップシステムの動作実証を、大阪大学、ハノーバー大学、ドイツ物理工学研究所との協力で世界で初めて成功した。本成果はQuantum Science and Technology誌に掲載された。また量子波長変換技術の開発及び量子光源・検出器の高度化を進めた。具体的には量子計測標準技術にも応用を想定した新規量子もつれ光子対源を用いて、世界最高速の繰り返し周波数(3.2 GHz)での高明瞭度な二光子量子干渉の観測に成功した。新型超伝導量子ビットの実現に向けては、シリコン基板上にエピ成長させた窒化物超伝導磁束量子ビット作製・評価技術の研究開発を進めた。超伝導量子ビットの新たな材料プラットフォーム実現に向け共同研究機関と共に、超伝導材料としてアルミニウムを一切使用しないエピタキシャルジョセフソン接合を有する全窒化物の超伝導磁束量子ビットをシリコン基板上で安定にコヒーレント動作させることに世界で初めて成功した(図3)。図2 見通し通信QKDの利用イメージと予想性能20,000kmISS400km放送衛星通信衛星静止軌道GPS衛星衛星コンステレーション構想1,110〜1,350km・⾒通し通信QKD・物理レイヤ暗号静止軌道36,000km中軌道低軌道情報収集衛星250〜500km図3 全窒化物超伝導磁束量子ビットの性能3.5.2 小金井フロンティア研究センター

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