1373●BBBBBB555555555555555555555555度が低く、テラヘルツ光利用開拓が他の領域に比べ遅れている「テラヘルツギャップ」と呼ばれる一因となっていた。そこで、高確度なテラヘルツ帯スペクトラム計測の実現を目指し、先進的な発生・制御・計測等の基盤技術が既に確立している光波帯(近赤外光)との相互波長変換を利用した国家標準トレーサブルな高確度テラヘルツ光発生・制御・計測手法を提案している。図2(a)にテラヘルツスペクトラム計測基盤技術の概要を示す。非線形光学結晶を利用した波長変換を行う際、計測対象となる「テラヘルツ光」のスペクトルは、変換後の「近赤外光」のスペクトルに反映される。そのため、周波数制御技術や周波数標準が既に確立している近赤外光領域において国家標準トレーサブルな基準光を用意すれば、測定対象との周波数差に相当する変換された近赤外の光領域に準じた高確度な計測が可能となる。基準となる励起光として、国家標準にトレーサブルな光基準信号を光ファイバーにより導入し、高強度化して波長変換時の励起光かつ周波数基準とした。図2(b)に基準光(1.54 μm)出力の励起光(1,064 nm)エネルギー依存性を示す。入射光が約40 μJ/pulseのとき、励起光エネルギーが増加するにつれて基準励起光エネルギーが単調に増加し、最高出力は励起光エネルギーが約1.7 mJ/pulseのとき、約0.34 mJ/pulseであった。これはピーク出力約0.51 MWに相当し、光ファイバーから供給される光基準信号(約5 mW)から8桁程度の高出力化を実現した。波長変換による高確度テラヘルツ光計測に十分であるが、計測範囲の広帯域化及び高感度化を目指して更なる高輝度化を進める予定である。3.国際標準化活動275GHz以上のスペクトラムの標準化に向けたITU-Rでの活動を行い、下記の成果を得た。①2021年のWP1A会合では、レポートSM.2352-0の改定に向けた作業文書の格上げ提案を行い、レポート改定草案として次会合にキャリーフォワードした。②2021年のWP5A会合では、新レポートM.[252-296GHZ.LMS.FS.COEXIST]に向けた作業文書の更新を行い、さらにレポートM.2417-0の改定に向けた作業文書の格上げ提案を行い、レポート改定草案として次会合にキャリーフォワードした。③2021年のWP5C会合では、レポートF.2416の改定に向けた作業文書の格上げ提案を行い、レポート改定草案として次会合にキャリーフォワードした。さらに追加したアンテナパターンは勧告F.699の改定にも貢献し、周波数範囲の450 GHzまでの拡張への審議に貢献した。④2021年のWP5D会合では、将来技術に関する新レポートに対してTHz技術を追加する貢献を行った。⑤2021年のAWG会合において、252-296 GHz帯固定システムに関するAPTレポート及びウクォークスルーイメージングシステムに関するAPTレポートの成立に貢献した。⑥2021年のAPG会合において、WRC-23議題10に対してTHz標準化動向を紹介し、APT暫定見解案に貢献した。また、無線機器の標準化を進めている IEEE802標準委員会においては、WSN(Wireless Specialty Networks)システムで初めての300 GHz帯無線標準規格であるIEEE std 802.15.3dが2017年10月に出版されたが、ITU-R WRC-19で追加された新脚注5.564Aの周波数帯域に合わせた修正検討のため、新たなタスクグループ(IEEE std 802.15.3ma)が2022年1月の会合において設置され、テラヘルツ研究センター長の寳迫 巌が同タスクグループの副議長に就任し、同年3月の会合から修正のための提案募集などの作業が始まった。最大450GHzまでの周波数帯の拡張、優先度マッピングのため参照しているIEEE Std. 802.1D-2004の廃止に伴うIEEE Std. 802.1Qへの入れ替え、バックホール/フロントホール等の長距離伝送における再送信フレーム間スペース(RIFS)の適正化等を予定している。Standing Commit-tee Terahertz (SC THz)では、テラヘルツ研究センター長の寳迫 巌が引き続き同Committeeの副議長として参画している。ITU-Rの該当Working Partyとの連携を取りつつ、IEEE std 802.15.3dの周波数テーブルの修正等を行う予定である。図2 (a) 波長変換によるテラヘルツスペクトラム計測概要、(b) 基準光出力の励起光エネルギー依存性(b)(a) テラヘルツ光︓λterahertz~ 300 μmλs超超広広帯帯域域・・高高速速波波長長変変換換++信信号号増増幅幅λsignal1 / λs= | 1/ λt–1/ λs|信号光︓λ2~ 1.56 μm 基準光︓λs~ 1.54 μm光光のの確確度度にに準準じじたたテテララヘヘルルツツ帯帯ススペペククトトルル計計測測のの実実現現3.6.1 テラヘルツ研究センター
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