1393●BBBBBB555555555555555555555555連する成果がIEEE Transactions on Information Theory誌に掲載された。中国が衛星量子暗号(低軌道衛星)の開発で先行する中、NICTは静止軌道までカバーできる見通し通信QKD・物理レイヤ暗号の研究開発を進めることにより、国際競争力の強化に取り組んでいる。また、物理レイヤ暗号の概念を多地点ネットワークへ拡張し、一部のノードやリンクが危き殆たい化した場合でもネットワーク全体の機密性や改竄耐性、可用性を保証できる暗号通信技術を開発した。特に、量子暗号とネットワーク符号化の概念を組合せることで、暗号鍵やデータを分散的に処理・伝送・保管する高度分散化技術を開発し、DoS攻撃耐性、信頼性、サービス性、広域化のスケール性を向上させる見通しを得た。今年度は上記技術の実験室環境での動作検証を実施するとともに、関連する合計3件の特許出願を行った。オープンテストベッドに関しては、令和2年度補正予算事業により、小金井拠点と府中地域2拠点の3拠点を結ぶ量子暗号ネットワークを新たに構築した。このネットワークをNICTが2010年度から運用している量子暗号ネットワークテストベッドである『Tokyo QKD Network』に接続し、より大規模な量子暗号ネットワークテストベッドを構築するための準備等も完了している。社会展開に関して、外部企業と連携した耐量子-公開鍵認証基盤の社会実装や、医療機関と連携した災害時の医療支援のための電子カルテデータ処理系の開発といった、量子セキュアクラウドの社会実装を推進した。さらに、量子鍵配送装置及び量子暗号ネットワークの国際標準化に向けて、33回の標準化会合(ITU-T:17回、ISO:3回、ETSI:13回)に参加し、60編(ITU-T:29編、ISO:5編、ETSI:26編)もの寄書を提出した。これらにより、令和3年10月に量子暗号ネットワーク・セキュリティの基本勧告群が、日本が主導権を維持する形で完成した。現在は量子セキュアクラウド及びプロトコル・インターワークの標準化、勧告草案を編纂中である(図4)。人材育成に関しては、昨年度に引き続き量子ネイティブ人材育成プログラムNICT Quantum Campを実施した。昨年度同様にNICT外から招いた講師・アドバイザリー(17名)による学習プログラムを提供するとともに、量子ICTに関心のある一般向けの公開セミナーの新規開催や、選抜メンバー向けの体験型プログラム及び高度量子ICT研究者の育成を図る探索型プログラムの採択枠の増加(前者では昨年度30名採用に対して今年度49名採用、後者では昨年度2件採択に対して今年度5件採択)など、昨年度よりもプログラムの規模を大幅に拡大した。併せて、昨年度修了生の今年度プログラムへのアシスタント登用や、昨年度修了生1名のNICTの国内インターンシップ制度の枠組みでの追加研修の実施など、昨年度のプログラムと連続性のある活動も実施した。以上の成果の国内外への情報発信のために、量子関連の主要国際会議(QCrypt2021等)でのパネル討論会に参加した。さらに、8か所の量子イノベーション拠点と合同で量子技術分野の国際シンポジウムQuantum Innovation 2021を開催し(2021年12月7日~9日)、37か国から1,200名もの参加者を集めた。これらの会議では、欧米アジアの第一線の研究者、ベンダ、ネットワークオペレータとの意見交換を通して、量子技術と関連する周辺技術との融合によるシステム構築が重要なフェーズに到達したという合意を得た。また、当センターは量子ICT技術の発展の牽引を目的とした団体である一般社団法人量子ICTフォーラムの活動を主導している。今年度は一般社団法人情報通信技術委員会との合同セミナー(第1回 2021年1月19日:参加者数326名、第2回 2021年10月12日:参加者数328名)や、一般ユーザ向けガイドラインや国内向け技術仕様発刊に向けた協議も実施した。図3 見通し通信QKDと物理レイヤ暗号、量子暗号の鍵生成レートの比較鍵生成レート[bps]伝送路の損失[dB]低軌道衛星(高度~1000km)のリンクバジェット範囲静止軌道衛星(高度36000km)のリンクバジェット範囲イブの盗聴能力:低見通し通信QKD物理レイヤ暗号Y.3800 ネットワーク基本構造Y.3801 ネットワーク要求条件Y.3802 ネットワークアーキテクチャY.3803鍵管理Y.3804ネットワーク制御・管理X.1710セキュリティフレームワークX.1714鍵合成と鍵供給X.1712鍵管理の要求条件と⼿法SG17(サイバーセキュリティ)量子セキュアクラウドの標準化、勧告草案編纂中Y.3808統合ネットワークの基本構造X.sec_QKDN_intrq統合ネットワークのセキュリティ要件X.sec_QKDN_AA認証と権限管理2019年10月発刊2020年3月発刊2020年12月発刊2020年11月発刊2020年11月発刊2021年10月発刊SG13(ネットワーク)量子暗号ネットワークの標準化で日本が主導権を維持SG 11(インタフェース/プロトコル)Q.QKDN_profrプロトコルフレームワーク2021年12月発刊各参照点でのプロトコルQ.QKDN_AkQ.QKDN_CkQ.QKDN_KxQ.QKDN_Kq-12020年11月発刊SG 13(ネットワーク)Y.QKDN_iwfrインターワーキングフレームワーク2021年10月ネットワーク・セキュリティの基本勧告群が完成プロトコル・インタワークの標準化、勧告草案編纂中SG13(ネットワーク)SG17(サイバーセキュリティ)図4 当センターが関与した量子暗号ネットワーク関係のITU-T勧告群3.7 量子ICT協創センター
元のページ ../index.html#147