156■概要ソーシャルICTシステム研究室は、第5期中長期計画期間において、NICTが専門とする情報通信分野ではない異分野・異業種の複数の企業等と連携して、Beyond 5G 社会を構成する超高周波を用いる IoT 無線技術、AI 技術、ロボットを含む自律型モビリティ技術を融合的に利活用することで構築可能となる構内や地域のデータ収集配信基盤技術の実証的な研究開発を推進し、社会的受容性の高い様々な社会課題の解決に資する ICT サービスのエコシステムを形成することを目標とした研究開発と社会実証実験を実施し、得られた知見をNICTのテストベッド及び社会にフィードバックしていくことを計画している。令和3年度は、Beyond 5Gに親和性の高いICT技術の社会実装を推進するため、「1. 超高周波を使ったミリ波IoT無線を活用する研究開発」「2. 異業種ロボット協働プラットフォームの模擬的実証環境の構築」「3. エレベーター移動支援システムの技術実証と社会実証」に関わる活動を中心に実践した。■令和3年度の成果1.超高周波を使ったミリ波IoT無線を活用する研究開発ロボット・ドローン・自動運転車両等への搭載により市場開拓が期待される、5G技術のコア技術である指向性が極端に高い超高周波を使ったミリ波IoT無線を活用する研究開発を進めた。自律型モビリティに搭載されたミリ波IoTデバイス間通信について、極めて短時間の近接通信を繰り返すことで、一度では転送しきれない大容量データを効率よく転送しつつ、さらには、モビリティの移動そのものによるデータの搬送力を活用するデータ転送方式を提案し、その有効性を基本的な実証実験で明らかにした。実証実験は、ソニーセミコンダクターソリューションズ株式会社との共同研究の下、同社が有する超高速通信性のみならずリンク確立時間が2 msec以下となる超短時間接続性を有する世界最先端の60 GHz帯を用いるミリ波IoTデバイスを活用して、ミリ波IoT搭載自律移動型サービスロボットによる協働型見廻りシステムを開発(図1)して実施した。その結果、広帯域通信インフラが存在しない、ないしは新規通信インフラの敷設が難しいエリアであっても、比較的近距離の屋内や瞬間的ロボット間近接の繰り返し実証の風景図1ミリ波IoT搭載自律移動型サービスロボットによる協働型見廻りシステム図2ロボットの瞬間的な近接の繰り返しでデータ転送量が増加する様子(黄色はRSSI値、データレート:2.9 Gbps、リンク確立時間:2 msec以下)3.9.2.4ソーシャルICTシステム研究室室長 荘司 洋三ほか6名超高周波を搭載した異業種ロボット協働プラットフォームを開発
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