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166■概要知財活用推進室では、NICTの研究開発成果を広く社会に展開することを目指して、知財の専門性を基盤に研究者や関連部署と連携し、積極的な知財の取得と活用の推進に取り組んでいる。発明創出段階における適切な知財の保護から、その活用としての技術移転契約等に結び付けるまでの知財サービスを、研究者と連携を取りながら一貫して行うことで、オープンイノベーションの創出に貢献する。具体的には以下のような業務を行っている。1.知的財産の適切な管理特許等の出願・登録・維持に必要な期限管理や手続等を着実に実施する。研究現場が知財の取得・維持の要否を主体的かつ迅速に判断していけるように、必要な情報提供及び支援を実施する。2.知財の取得支援と効果的な活用の推進各研究部署担当の「技術移転コーディネータ」が、知財の取得から技術移転まで研究者と連携して推進する(図1)。保有知財や技術活用事例を、Webや技術説明・紹介の機会等を活用し積極的に産業界等へ情報発信するなど、研究現場及び関連部署と連携して知財のプロモーションに取り組む。特許の出願、登録、実施、譲渡時の補償金の支払いに係る手続を適切に実施する。3.知財法務の着実な実施・人材育成有効な権利保護・活用のため、共同出願やライセンス等の契約における交渉・調整及び研究所等が締結する共同研究契約等の調整支援等の知財法務サービスを提供する。研究者や知財関係職員の知財スキル向上を図るためのセミナーや研修を実施する。■令和3年度の成果1.知的財産の適切な管理(1)「知的財産戦略委員会」での議論を踏まえ、技術の特性等も考慮し、「迅速」かつ「柔軟」な視点で知的財産の活用促進に取り組めるよう、知財の取得・維持において研究現場主体の体制を整備した。具体的には、特許出願、登録、維持等の知財の取得・維持に係る判断を、従来のNICT全体による一元管理図1 技術移転活動の取組表1 情報通信研究機構 新技術説明会で発表した4件の新技術技術発表タイトル技術の概要(1)生体深部のリアルタイム観察に適した蛍光顕微鏡脳などの生体深部を観察するための蛍光顕微鏡では、生物試料が厚みを持つため光学収差により分解能が低下する。今回の技術は、通常の蛍光顕微鏡に特別な装置を付加することなく、3次元画像に対する演算処理のみで深部分解能を改善する。生体毒性となる過度の光照射を不要とし、安価・高速・簡単に分解能が向上できる。(2)Beyond 5G無線通信に向けた有機電気光学ポリマーデバイス技術有機電気光学ポリマーは、高効率かつ数百GHz以上の超高速光変調を可能にすることから、Beyond 5G時代の光ファイバー無線における無線から光信号への変換や電界センシング、広帯域テラヘルツ波(0.1 ~10THz)発生・検出等への応用が期待できる。開発技術によりテラヘルツ波の損失を大幅に抑制したデバイス開発が可能になった。(3)安全・安心なグローバルネットワークに向けた物理レイヤ暗号物理レイヤ暗号は指向性が高いという光通信の性質を活用し、さらに盗聴者の能力を予測することにより、量子暗号に次ぐ安全性を担保しつつ、高速・遠距離な暗号通信が実現可能。今回の技術はドローンや航空機への搭載が容易な、大気ゆらぎなどの擾乱に強い物理レイヤ暗号を実現する。(4)ニューノーマル社会における共同体験プラットフォーム技術バーチャル空間内の様々なシーンを複数人で一緒に体験することができる。360度の実映像や3Dスキャンデータを共有したり、シーンが変わってもユーザの途切れない繋がりを実現したりすることができるため、これまでにない臨場感ある実映像空間内でユーザ同士の新たな体験が期待される。3.10.4知財活用推進室室長(兼務)  岡崎 幸夫ほか16名研究開発成果の社会展開に向けて積極的な知財の取得と活用を促進

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