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1673●オープンイノベーション推進本部の体制から、必要な経費(知財予算)とともに各研究所に委任する仕組みを導入した。(2)研究現場主体の体制に合わせた、特許の出願、登録、維持のための業務フローを整備し定着化を図った。特許管理データの整備とともに、外部専門業者も活用した特許料支払い業務の実施など、ミスのない特許管理業務に努めた。(3)今年度の特許出願数は125件(国内67件、国外58件)、年度末での保有登録特許数は1,109件(国内737件、国外372件)であり、前年度に比べて国内出願は微減、国外出願は増加の状況にある。2.知財の取得支援と効果的な活用の推進(1)「知的財産戦略委員会」での議論を踏まえ、重点推進分野の知財取得・維持・活用を戦略的に推進するための知財戦略の策定を行った。初めにNICTの知的財産ポリシーを具体化した技術分野によらない共通戦略を策定したのち、技術特性を考慮した各技術分野の知財戦略骨子を研究所と協力して策定した。(2)NICTの知的財産化されたシーズを産業界等に紹介するため、保有知財や技術活用事例を、Webや技術説明・紹介の機会等を活用し、積極的に産業界等へ情報発信した。外部向けイベントとしては、科学技術振興機構との共催により「NICT新技術説明会」(令和3年10月14日オンライン開催、273名聴講)を開催し、研究者自身が産学連携に関心のある企業向けに技術を紹介し個別質問にも対応した(表1)。Interop Tokyo 2021(令和3年4月14–16日、幕張)では、サイバーセキュリティ研究所と連携して、技術移転の取組や導入事例を技術移転先企業とも協力して紹介した。加えて、知財活用・技術移転の視点から、社会実装の促進に取り組むNICT内の関係部署との連携体制も強化した。(3)令和3年度の新規技術移転契約件数は18件、年度末での技術移転契約件数は133件、技術移転収入は10,994万円であり、契約件数、収入は前年度と比較してやや減少傾向である。今年度の技術移転の例を図2、3に示す。(4)Beyond 5G知財創造に資するため、Beyond 5G研究開発推進ユニットの主導により、サイバーセキュリティ研究所の協力の下で特許アイデアソンを試行的に実施した(令和3年11月15日オンライン開催)。また、知財創造のインセンティブとするため、各研究所のBeyond 5G関連技術の特許出願に対して通常の出願経費に加えて予算支援を実施した。(5)Beyond 5G研究開発促進事業(委託事業)において、研究委託プロジェクトにおける知財化・標準化支援を強化するため、標準化推進室と連携し外部専門家も活用した支援体制を整備した。また、Beyond 5G新経営戦略センターのIPランドスケープWGに参加し、企業にとって使いやすいIPランドスケープ作成方針の策定に協力した。3.知財法務の着実な実施・人材育成(1)研究現場主体の体制整備に合わせ、知財の専門家を補強し、知財法務等の周辺支援にも注力した。具体的には、NDA、共同研究契約、共同出願契約、技術移転契約等、多数の技術契約書の作成を支援(相談対応件数約500件)し、NICT全体の知財取得・活用とともに、法務的チェックによって紛争等のリスク低減にも努めた。(2)研究者や知財関係職員の知財スキル向上を図るために、初心者向け、専門家向け、経営層向け等、各々に適した内容で知財セミナー2回(3日間・オンライン)を企画し開催した(各回共に延べ約200名が参加)。サイバーセキュリティ研究所内の特許セミナーにも講師を派遣した。図3 技術移転例2【契機】研究者/企業連携【技術移転先】標準化推進団体【概要】複数の無線システムが共存する製造現場での無線通信は、各システム間の電波干渉により動作不安定や遅延が生じる可能性がある。このような環境下でも安定した通信を実現する協調制御の技術仕様を満たしているか自動で試験を行うことができる。Smart Resource Flow(SRF)無線試験スクリプトテストツールと試験対象機器(一例)テストツールを接続した試験対象機器テストツール起動画面図2 技術移転例1【契機】研究者/企業連携【技術移転先】光学測定装置メーカー【概要】超電導単一光子検出は、量子暗号や量子を用いた衛星光通信の媒体としての利用が想定される。高検出効率、低暗計数率、高時間分解能を特徴とし、受光部冷却用の小型冷凍機を採用したことで、システムのコンパクト化を実現している。超電導ナノワイヤーを用いた単一光子検出器(SSPD)SSPDパッケージ3.10 イノベーション推進部門

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