196■概要NICTナレッジハブは、令和3年度に新設された部署であり、最新のICT、関連技術やその社会展開の国内外動向等について、将来にわたるNICTの研究開発戦略などに活いかしていくため、情報を整理して知の集積を行い、調査・分析・発信及び新たな価値創出を視野に入れた知的基盤の構築を目指す。今年度はKnowledge Hub ReportをNICT内向けに定期刊行するとともに、NICT外の国のイベント、科学館や研究機関、また国際連合等で情報発信した。また、NICTのOB・OG人脈・連携推進や技術史的資料の保存管理、平磯太陽観測施設記念碑建立等、歴史の中のNICTの視点からの価値についても取り組みを行った。■令和3年度の成果NICTナレッジハブは、国内外のICT及びNICTの業務に係る情報、知見の集積に関すること、NICT内外の有識者や関係者の知的連携の促進に関すること、NICTのOB・OGとの知的連携の促進に関すること等を目的に令和3年度に新設された組織である。特に、最新のICT及び関連技術やそれらの社会展開等の動向について、情報を整理して知の集積を行い、将来にわたるNICTの研究開発戦略等に活かしていくため、国内外の関連動向等の調査・分析・発信に取り組むとともに、我が国のICTの新たな価値創出を視野に入れた知的基盤の構築を目指す。主な活動としては、次のような方向性で業務に取り組んでいる。まず、NICT、国内外社会の発展、ICT技術・ICT基盤についてメンバーの知識経験と他部署との連携等を通じて専門的な知的貢献、一般向け啓蒙活動等を行うとともに、科学技術、研究からマネジメントまで、広い視野でNICTの知的活動やノウハウについて、NICT内共有、知の蓄積の高度化をめざしている。またメンバーの実績、経験と個性を最大限に活かし、それぞれのアプローチによる活動の工夫を行いつつ、活動成果や知見を「Knowledge Hub Report」としてまとめている。さらに、他部署とも連携し、NICT内のディスカッション・交流を通じて発信すべき議論を熟成しながら、NICT内へ浸透させることを狙う、といった活動である。令和3年度の主な成果を大きくまとめると、以下のようになる。NICT内の重要な知見、論考についてメンバーが執筆した記事をまとめ、「Knowledge Hub Report」として隔月で定期刊行して、NICT内で共有をすすめた。IDI定例ミーティングやNICT内での各分野の談話会にメンバー有志が参加し、議論や発表を行うなどして、若手からシニアまでの研究員の知的啓発に努めた。またナレッジハブセミナー「テレビ世界中継ことはじめ」(令和3年12月20日)という形で、NICTが電波研時代に果たした衛星通信技術とそれを通じた大きな社会貢献の歴史を振り返る講演をメンバーが行い、NICT内で情報共有を図った(図1)。当部署研究員がもつ、高度な科学的情報については、我が国社会において重要な科学技術イベントを含め、メンバーが要請に応じてひろく社会へ知的情報発信を行った。2021年6月には、多摩六都科学館において、「暦と時空」という題で、暦が天体の動きや時空の標準に大きく関わっていて、技術の進歩でその基準が変わってきていることを講演した。内閣府等が主催した「Society5.0科学博」(2021年7月)では、時間や空間の標準の進歩と、それが人類の歴史の中で農耕時代、大航海時代から宇宙開発に至る中でどのような役割を果たしてきたかを講演した。さらに2022年2月に、兵庫県立大学主催の、西はりま天文台開設30周年記念宇宙天文科学シンポジウムでは、招待された基調講演において、時間と空間の精密計測が宇宙の研究に大きく資してきたことと、NICTが我が国を先導して開発してきたVLBI技術の発展など図1ナレッジハブセミナー「テレビ世界中継ことはじめ」で使用した資料の一部。歴史的に貴重な資料が紹介された。3.15NICTナレッジハブナレッジハブ長(兼務) 村山 泰啓ほか1名過去・現在・未来のICTを見据えた知の基盤構築へ向けて
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