193●電磁波先進技術分野するとともに、宇宙天気予報会議での活用を開始した。(3)電磁環境研究室・機構法第14条第1項第5号に定められている「無線設備の機器の試験及び較正」の業務を着実に行い、電波の公平かつ能率的な利用の実現に貢献するとともに、周波数標準に関する我が国の計量システムの維持に務めた。・1台の無線通信端末の周囲に複数の広帯域電磁雑音源が一様に分布するモデルを用いて、電磁雑音源の世帯普及率に応じた電磁雑音受信電力の統計分布を導出し、雑音源が1つのみ存在する場合と比較して、複数の電磁雑音源が存在する場合における電磁雑音の集積効果を明らかにした。・5Gサービスの開始に伴って普及が拡大するミリ波帯携帯無線端末について、通話状態における人体側頭部を対象に入射電力密度の最大空間平均値データを取得した。このデータにより、国際規格で規定されている側頭部のモデル形状が妥当であることを明らかにした。・日常生活における電波環境を網羅的に明確にするために、過去に電波環境測定を実施した場所における電波環境の測定を昨年度・一昨年度に実施したが、今年度はこれらの測定データを統計的に解析し、我が国で初めて電波ばく露レベルの長期変動を定量的に示した。(4)時空標準研究室・機構法第14条第1項第3号に定められている「周波数標準値の設定、標準電波の発射、標準時の通報」の業務を着実に行い、標準電波の発射では年間99.9%の時間で送信を行い、NTP(ネットワークタイムプロトコル)サービスでは1日あたり最大80億を超えるアクセスがあった。・NICTのストロンチウム光格子時計を間欠的に運用した結果を国際度量衡局に報告し、協定世界時(UTC)の歩度(時刻の刻み幅)を8か月間連続で校正した。また12月には、セシウム一次周波数標準を含めた全ての周波数標準の中で最も小さい不確かさ1.9×10−16でUTCの歩度を校正した。・半導体超格子ハーモニックミキサを用いたテラヘルツ波用の周波数計測システムを開発し、0.1THz~2.8THzの広帯域において精度16桁の計測が可能となり、小型・室温下で動作する広帯域・高精度なテラヘルツ周波数カウンタを実現させた。(5)デジタル光学基盤研究室・高精度かつ安定的なホログラフィック光学素子(HOE)の製造を可能とするために、ホログラムセル内に生じる波面収差を推定し補償する方法を開発し、作製されるHOEの光学機能の高精度化を実現した。・HOEの光通信用モジュールへの実装を目指し、通信用波長帯域(850 nm)におけるホログラムデータの基本的な設計に取り組み、2枚の駆動鏡を用いて信号を追尾する空間光通信装置のビット誤り率が10-12を下回る角度として、5多重記録で±0.06度に相当する性能を得た。・自然光デジタルホログラフィをコア技術として、ホログラフィック定量位相動画測定光学システム、手のひらサイズのホログラムセンサの試作、LEDや太陽光のフルカラーホログラムを単一露光で記録可能な自然光デジタルホログラフィ光学システムの試作にそれぞれ成功し、著名な国際論文誌に掲載された。2.研究所共通の活動(1)関連施設の運用「沖縄電磁波技術センター」、標準電波を送信する「おおたかどや山標準電波送信所」及び「はがね山標準電波送信所」、電離圏観測を行う「サロベツ電波観測施設」、「山川電波観測施設」及び「大宜味電波観測施設」等を運用し、研究開発及びパブリッシングサービスの実施に資した。(2)広報活動計7件の報道発表を行い、TV・ラジオ番組等に11件取り上げられ、新聞や雑誌にそれぞれ136件、35件の記事が掲載された。また、延べ594名の視察・見学依頼に対応した。新型コロナウィルス感染症拡大防止のため、沖縄電磁波技術センターにおけるオープンハウスの開催は見送った。(3)リクルート説明会の開催若い研究者に将来、電磁波研究所を就職先のひとつとして検討していただけるよう、当研究所の活動等を紹介するとともに、情報交換が容易にできる場を構築することを目的として、3月1日に大学生・大学院生・ポスドクを対象とした「電磁波研究所リクルート説明会」をオンラインで開催し、39名の参加者があった。(4)次世代安心・安全ICTフォーラムにおける活動「次世代安心・安全ICT フォーラム」は、ICTを利用した安心・安全な社会の実現を目指した取組を産学官の連携により推進することを目的として平成19年に設立された。当研究所では平成22年度からこの活動に参画するとともに、事務局も担当している。3月8日に「次世代安心・安全フォーラム講演会 -活動の総括と今後-」をオンラインで開催し、全7件の講演に対して99名の参加者があった。3.1 電磁波研究所
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