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20■概要電磁波伝搬研究センターは、リモートセンシング研究室及び宇宙環境研究室の2つの研究室から成り、主に電磁波を用いて自然現象等を計測することを研究対象としている。近年、地球温暖化の影響もあり、我々を取り巻く気象現象は激甚化する傾向がある。いわゆるゲリラ豪雨や線上降水帯の発生など、想定外の豪雨が長時間続くことによる洪水や堤防の決壊などの災害が毎年のように発生している。さらには日常生活に甚大な影響を及ぼすクラスの地震も近年多発している状況である。また、宇宙に目を転じて見れば、太陽活動の社会生活への影響は、ICT社会の高度化とその普及に伴い、ますます深刻なものとなっている。電波を用いた通信・放送は太陽フレアと同時に発生する広帯域の電波雑音及び電離圏擾乱によって利用が制限されることが知られているほか、衛星測位も電離圏の乱れにより深刻な影響を受けることが知られている。また、更に大規模な現象では人工衛星の利用が制限されたり、高緯度地域を中心に電力網に影響が現れたりすることが知られている。このような自然災害に十分に備えるためには、まずは状況を正確に把握し、それを基に数理的及び経験的モデルを用いた将来予測を行い、想定されるリスクを定量的に見積もり、それを回避する方策をとることが求められる。電磁波伝搬研究センターでは、主に電波を用いた地球・宇宙環境のモニタリング及び予測技術の研究開発を推進している。リアル空間での事象を、電磁波を用いてセンシングしサイバー空間にその状況を構築、シミュレーション等の技術で将来を予測し、その結果をリアル空間にフィードバックすることでリスク回避につなげている。現状、リモートセンシング研究室は、現況把握において独自の開発技術を有するのに対し、宇宙環境研究室は将来予測において開発技術を有する。これは、両者の協力により長所を伸ばし、課題を解決するシナジー効果が期待できる状況である。図1 電磁波伝搬研究センターの戦略イメージ3.1.1電磁波伝搬研究センター研究センター長  石井 守

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