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213●電磁波先進技術分野■主な記事令和3年度は電磁波伝搬研究センター発足1年目として、前項で述べたシナジー効果を加速するために、2つの研究室間での情報共有と連携を活発にする活動を開始した。まずは、両研究室で独立して行われていた研究会についての開催情報を共有し、お互いに相手の研究室の研究会にも自由に参加することができるようにした。これにより、相手の研究室での研究活動の状況を詳細に知ることができ、連携の可能性を模索することが容易となった。以下は令和3年度に両者の連携で行われた主な課題である。・衛星センサ開発情報の連携:リモートセンシング研究室では長年にわたり、衛星からの降雨及び雲観測のためのセンサ開発を行ってきたノウハウを有する。一方宇宙環境研究室では令和3年度から新規に内閣府スターダストプログラムによる「ひまわりの高機能化研究技術開発」が開始され、電子・陽子フラックスセンサ及び帯電モニタの開発に着手した。宇宙環境研究室では20年ほど衛星センサ開発から遠ざかっていたため、手順等のノウハウを共有できたことはプロジェクト遂行に大きく役立った。・解析手法:リモートセンシング研究室ではセンサ開発とともに、信号処理技術を長年にわたり磨いてきた実績を有する。この技術を、宇宙環境研究室が定常業務として行う電離圏観測データの解析に応用し、電離圏パラメータの自動読み取り精度の向上に寄与した。・人的ネットワーク:宇宙環境研究室では、東南アジア域での電離圏観測を現地の研究機関の協力の下、20年以上にわたり行ってきた実績を有する。この連携の中で旧知のマレーシアのUniversiti Kebangsaan Malaysiaの研究者よりリモートセンシング技術に関する連携についての打診があり、技術協力を行う形で当機構のASEAN-IVOプロジェクトへ応募した。残念ながら本計画は不採択となったが、引き続き情報交換を進める方向である。・情報発信:宇宙環境研究室では、長年にわたり継続的に宇宙環境に関する観測データを蓄積、保存、公開を行っており、WDSのWorld Data Center for ionosphere and Space Weatherとしても活動している。また宇宙天気予測モデル等の公開も積極的に行っている。これらのWebコンテンツ開発で培ったノウハウをリモートセンシング研究室と共有し、リモートセンシング観測情報の公開・提供のためのコンテンツ作りに展開している。また、両研究室が有する地球・宇宙環境データの活用に向けて、石井研究センター長が令和3年からWorld Data System Science Committee(WDS-SC)メンバー及びThe Scientific Committee on Solar-Terrestrial Physics (SCOSTEP) bureauに選出され、利用しやすく運用コストが小さいデータベースを構築するための調査を開始した。図2 電磁波伝搬研究センター内の連携例(1)衛星センサ開発ノウハウの展開図3 電磁波伝搬研究センター内の連携例(2)情報公開ノウハウの展開3.1.1 電磁波伝搬研究センター

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