29611.1国立研究開発法人情報通信研究機構が 達成すべき業務運営に関する目標を 達成するための計画(第5期)序文国立研究開発法人情報通信研究機構(以下、「機構」という。)は、情報通信分野を専門とする唯一の公的研究機関であり、研究開発に係る業務を主要な業務として、中長期的な目標・計画に基づき業務を行うことにより、我が国の科学技術の水準の向上を通じた国民経済の発展その他の公益に資するため研究開発の最大限の成果を確保することを目的とした国立研究開発法人である。主務大臣の下での政策のPDCAサイクルを強化するため、主務大臣を評価主体とする等目標・評価の一貫性・実効性を向上させる仕組みが構築された。「第6期科学技術・イノベーション基本計画」(令和3年3月)において、「ICTの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進は、個々のニーズに適ったソリューションを提供する可能性を広げている」と分析されているように、情報通信技術(ICT)の発展及び浸透がデジタルトランスフォーメーションを加速し、Society 5.0として謳われる社会経済の変革を実現させることが期待されている。また、情報通信審議会「新たな情報通信技術戦略の在り方」第4次中間答申(令和2年8月、以下「第4次中間答申」という。)において、デジタルトランスフォーメーションを推進するため「Beyond 5Gの実現」「AI(脳情報通信、データ利活用)」「量子情報通信」「サイバーセキュリティ」を戦略的に推進すべき4研究領域と定め、戦略的な取組を強力に推進することが求められている。そこで機構は、災害や未知の感染症等の社会の非連続な変化に柔軟に対応しうるSociety 5.0の実現に向け、サイバー空間とフィジカル空間の融合を目指すICTの役割や期待を認識した上で、第5期中長期目標に掲げられている国の政策体系における機構の位置付けと役割(ミッション)を踏まえ、令和3年度から令和7年度までの新たな中長期目標期間において、次のとおり取り組む。第一に、第4期中長期計画までの研究開発成果に基づき、機構の基礎体力としての基礎的・基盤的な研究開発を引き続き推進する。その際、第4次中間答申を踏まえ、研究開発を5つの分野(①電磁波先進技術分野、②革新的ネットワーク分野、③サイバーセキュリティ分野、④ユニバーサルコミュニケーション分野、⑤フロンティアサイエンス分野)の下で推進する。第二に、限られたリソースを活用して研究開発成果の最大化を実現するため、機構内部の連携を深化させてイノベーションを創出することと併せ、機構内部の能力と機構外部(国内外の産業界、大学、利用者、地域社会等)の能力を横断的に連携させてBeyond 5G時代を見据えたイノベーションを加速する取組を行うこととし、体制を整備して強く推進する。第三に、機構が国立研究開発法人としての社会的責務を効果的に果たしていくため、研究開発を実施する中で引き続き効率的な業務運営を図る。 Ⅰ 研究開発成果の最大化その他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置 1.重点研究開発分野の研究開発等1-1.電磁波先進技術分野電磁波を利用して社会を取り巻く様々な対象から情報を取得・収集・可視化・提供するための技術、様々な機器・システムの電磁的両立性(EMC)を確保するための技術、効率的な社会経済活動の基盤となる高品質な時刻・周波数を発生・供給・利活用するための基盤技術、低コストで高効率な光学素子を実現するための基盤技術として、リモートセンシング技術、宇宙環境技術、電磁環境技術、時空標準技術、デジタル光学基盤技術の研究開発を実施するとともに、標準化、研究開発成果の普及や社会実装を目指す。⑴ リモートセンシング技術電磁波伝搬に大きな影響を与える大気・地表面の状態把握と、その情報を活用した防災・減災をはじめとする社会課題解決に向けた分析・予測等に資するリモートセンシング技術の研究開発に取り組む。
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