33111.2 国立研究開発法人情報通信研究機構における令和3年度の業務運営に関する計画(令和3年度計画)11中長期計画、年度計画環境技術に関する国内の中核的研究機関としての役割を果たすとともに、研究開発で得られた知見や経験に基づき、国際標準化活動や国内外技術基準の策定等に寄与すると同時に、安全・安心なICTの発展に貢献する。また、これらの研究開発に伴い得られた計測基盤技術は、機構法第14条第1項第5号の較正業務に反映する。⑷ 時空標準技術ア 周波数標準及び時刻生成技術・4局(小金井・神戸・長波送信所二箇所)の時計群による統合時系の実運用に向け、概念実証した合成原子時発生手法に冗長系の計算機を追加する等により、より高い信頼性で運用できるシステムを構築する。また、本部及び副局の日本標準時生成監視及び供給システムについて、ハードウェア・ソフトウェア両面で光時計の導入を見据えた機能強化を進める。・光格子時計については、国際原子時校正や日本標準時の歩度評価に貢献すると共にその稼働堅牢性の向上を図る。また、国内外機関の光周波数標準との高精度な周波数比測定を実施し、多様な比較手法の評価を進める。さらに、光周波数標準の一層の精度及び信頼性向上を目的に、次世代機の開発に取り組む。・静止衛星を利用する周波数比較手法については、光周波数標準の周波数比較に資する衛星双方向搬送波位相比較リンクを韓国KRISS研究所との間で構築する。また、GNS利用の時刻周波数比較において、より多くの衛星数を利用して測定の信頼性及び精度の向上を実現する多周波かつMulti-GNSS利用の簡易型時刻比較用受信機を開発し、パッケージ化した受信機を本部と副局に配置し精度向上を検証する。イ 周波数標準及び時刻供給技術・可搬型のコンパクトな原子時計の開発については、よりシンプルな自立発振型原子時計の開発を目指し、その要素技術となる二分周発振器と高コントラスト化技術を確立する。また、ガスセルの小型・低コスト化を材料レベルから推進する。・近距離無線双方向時刻比較による時刻同期を実現するモジュールについて、その小型化及び高精度化を進める。また、測位技術への応用に向けて反射波の影響を低減する手法の開発に着手する。・分散型時刻同期網の研究については、複数台の原子時計によって原理検証を行うシステムを構築した後、安定度測定システムを導入し、性能評価を行い、また光有線/無線に対応した標準周波数伝送システムの開発に着手する。ウ 周波数標準及び時刻利用の未踏領域開拓・光周波数標準器による重力ポテンシャル計測への地下水変動等の外的擾乱による雑音混入を定量的に評価するために、相対重力値の連続観測に着手する。また、国土地理院等測地観測関連機関と連携して世界測地系での光周波数標準器とGNSS等の測地基準点との結合観測を実施し、同時に重力値データの解析を行う。・テラヘルツ周波数標準技術については、一酸化炭素分子安定化THz波長標準器の不確かさ評価を行い、その結果の誌上発表を行う。また、Beyond 5Gにおける効率的な帯域利用に資する、小型・可搬型0.3THz標準器の高度化を実施する。また、周波数校正業務のsub-THz帯への拡張に向けた課題を明確化する。⑸ デジタル光学基盤技術・高効率かつ安価なプリント型ホログラム素子の実現を目指し、デジタルホログラムプリントによる回折光学素子の製造に関する研究開発、及びデジタルホログラムによる実写の精密光学測定技術の研究開発を行う。・回折光学素子の製造では、従来の光学素子製造技術では難しい、複雑な光学特性をデジタル印刷で実現するために、安定的なホログラムプリント技術の研究開発を行い、一般に用いられる光学サイズである口径50mm程度の光学素子を安定的にプリントできる露光設備を整備する。・また、プリントした光学素子を用いた光通信用素子等を実現するために、光学系の小型化・軽量化に寄与するホログラムデータの基礎設計を行う。・精密光学測定技術では、被写体の振幅・位相の同時測定を可能とするデジタルホログラム撮影法を拡張し、振動や裏面反射の影響を低減する光学系を構築することにより、撮像系の低ノイズ化を実現し、顕微鏡等への応用検討を始める。1-2.革新的ネットワーク分野⑴ 計算機能複合型ネットワーク技術計算機能複合型ネットワーク技術の研究開発として、以下の内容を実施する。ア ネットワークテレメトリーによる大規模ネットワーク制御技術
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