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273●電磁波先進技術分野常に意識するといった相乗効果が生まれるとともに、最先端研究の成果を国家標準や国際標準の構築に反映しやすいというメリットがある。これが当研究センターの大きな強みである。以下、令和3年度の主な研究センター活動について報告する。【活動報告:研究センターの方向性を整理】研究センター発足に伴い、各研究室の活動履歴や計画などを踏まえて研究センターとしての方向性を整理した(図2)。具体的な方向性としては以下の3本を柱とした。一つ目は、「標準の実現」。ここで重要となるのは、正確さ、信頼性、中立性である。課題としては法定業務の実施が第一であるが、停滞と形骸化を防ぐとともに、効率的な業務を実現し、より確実で安定したサービスを提供していくため、研究開発や普及活動にも注力していく。この「標準」をコアとし、次の2方面にも活動を展開する。一つが、「実利用化」。ここではユーザーのニーズに合うことが重要である。標準は使われてこそ、という強い意識を持って進めていく。もう一つは、上記とはある意味逆の方向性ともいえる、「先鋭化」である。自分たちにしか成し得ない技術を開拓する。今期は特に、B5G/6Gをにらんだ開発が大きなテーマとなる。【活動報告:研究センター内外の連携活動】・研究活動における連携: 同研究センター内で共通の方向性は持ちながらも、両研究室の専門分野はかなり異なる。ただ「電磁波に対する高精度計測技術」や「計測結果に対する確からしさの評価法」など、共通に必須となる要素も多い。クロスオーバーしながらの調査や研究開発などを通じた相互理解を目指して、各計測技術応用の情報共有や研究室セミナーの相互乗り入れ等を開始した。・較正/校正業務に関する内部連携: 較正/校正業務に関しては従来、周波数以外の高周波電力などの較正メニューについては電磁環境研究室で、周波数校正メニューについては時空標準研究室でそれぞれ担当していたが、共通化できる活動の統合などを数年前から進め、令和3年4月からは両メニューを標準較正グループで実施することと位置づけをして整理した。ただ、実働においては両メニューにはかなりの相違があり、各エキスパートの持つ専門知識や技術の共有を一朝一夕に実現するわけにはいかないため、各メニューの担当職員が双方の業務に対応できるよう相互乗り入れをしながら実務訓練を行うなど、較正業務実働の実質的な融合に向けた取組を開始した。・産業技術総合研究所(AIST)との連携: 令和2年度に引き続いてAISTとの定例交流会を3回行い、主に較正業務について、運用の効率化に向けた提案や今後に向けた研究課題などについて意見交換を行った。また、アジア太平洋域の計量標準機関から構成される国際的枠組みAPMP(Asia Pacific Metrology Programme)総会の令和4年度ホストを日本が担当(AIST主催)することになったことから、APMP2022組織委員会に参画し、コロナ禍での開催形態などについて協議を行った。図2 電磁波標準研究センターの活動の方向何を目指す?•社会の基盤となる標準の構築・そのための研究・活かすための活動:•未踏領域の技術開拓・新たな分野の構築:•標準の実現•国際/国家標準•正確・⾼信頼性・中⽴であること•先鋭化•唯⼀無⼆の開拓•ここでしか成し得ぬ技術を提供・法定業務・国内標準の構築・国際標準の構築への寄与・原理の研究と実現⼿法の錬成・制度化への活動に参画・⼀般への浸透・サービスの提供標準は、使われてこそ︕何をやる?・B5G/6Gにおける牽引・THz領域での標準構築・超⾼精度センシング・萌芽的・基礎研究の推進・既存技術の限界に挑戦・異分野とコラボ(課題発掘・技術転⽤)•実利⽤化•産業に反映•ユーザーニーズに合致すること•社会を進化させる技術の開発・提供:・既存技術の実利⽤展開を常に意識・異分野とコラボ(課題発掘・技術転⽤)・基盤事業での実利⽤・新分野(医療等)へ展開・ビジネス・経済活動へ貢献3.1.2 電磁波標準研究センター

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