313●電磁波先進技術分野下で同期できていることを確認した(図2)。3.時空標準技術の次世代無線技術Beyond 5G での利用双方向無線時空間測定技術(ワイワイ)については、東京大学、東北大学、日本電波工業と共同研究を進め、ワイワイによる時刻同期を基盤とした通信プロトコルの研究開発、小型ワイワイモジュールの試作及びロボット群制御への適用研究を進め共同研究先との共著で論文発表、学会発表を行った。また微小変位計測アプリケーションに用いる小型微小変位センサーモジュールを開発した。大阪大学と共同で無線電力伝送へ高精度無線時刻同期を適用して伝送効率を高める実証実験及び学会発表を行った(図3)。無線位相同期を活用した秘匿通信技術を開発した。原子時計チップ(CLIFS)の開発については、東工大と連携し、国内に半導体製造ラインが存在するレガシープロセス(>150nm)を活用した発振器の製作を行った。また、東北大と連携し、波長可変VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:垂直共振器面発光レーザー)の試作を行った。ここではMEMS静電可変ミラーの動特性を取得するとともに、当該ミラーチップにhalf-VCSELを搭載し、レーザーキャビティを構成したときのレーザー発振も確認した(図4)。分散型時刻同期網の研究については3台の原子時計搭載有線ノードを開発し、Ethernet PHYによる高精度時刻比較RTLを実装した。3台の原子時計搭載有線ノードを用いた安定度測定を行った。アルゴリズム開発における東工大・群馬大との連携強化を図るために、検証と評価のためのエミュレーション環境の構築に着手した。テラヘルツ周波数標準技術においては、昨年度開発したテラヘルツ帯で動作する超高精度・広帯域の小型周波数カウンタについて、計量標準分野のトップジャーナル(Metrologia)に誌上発表するとともに、電波業界などにも広く周知するための報道発表を行った。その他、小型・可搬型THz波長標準器については、2台のアセチレン安定化レーザーの光差周波0.3THz標準信号を発生させ、その周波数確度及び安定度がそれぞれ3.5×10-7及び5×10-8 (平均時間10秒)に到達することを確認した。4.未踏領域の研究開発光周波数標準器による重力ポテンシャル計測については、周波数変動への地下構造の影響と地盤上下変動との切り分けを定量的に進めるため、本部2号館において相対重力計による重力加速度観測を開始した。また、国土地理院の協力を得てNICT本部(東京都小金井市)での水準測量と相対重力測定を実施し、光格子時計の重力ポテンシャル値を0.5 m2/s2の不確かさで決定した。これにより重力シフトによる光周波数標準の不確かさが2.2×10-17から5×10-18に減少し、遠隔地の時計との18乗台での比較が可能になった。インジウムイオン光周波数標準では、質量数が近いイッテルビウムイオンとともに多数個のイオンをトラップして周波数安定度の向上や量子もつれを実現する2号機の開発に着手した。図2 本部-東京大学間の標準時信号の時刻差-12-11.5-11-10.5-101617181920212223SRS CodeSRS Cp + offset Time difference [ns]Date [2021/09]Mean: -10.89 [ns]StdDev: 0.049 [ns]図3 時刻同期による協調無線電力伝送受信機図4 波長可変型面発光レーザー3.1.2 電磁波標準研究センター
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