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413●革新的ネットワーク分野さらに深紫外デバイスなど、非常に多岐にわたるデバイス基盤技術の研究が進められている。令和3年度は、外部機関41団体207名(本部クリーンルーム)の利用登録を数え、NICT内外合わせた施設利用者総数は延べ5,900人を超えている。このような多くの研究者の研究連携を図るために、令和3年度は「先端ICTデバイスラボ研究成果報告書」を発行した(図3左)。令和元年度までは有機的交流を図る場としてポスターセッション等によるワークショップを開催していたが、令和2年度以降は新型コロナの影響を受け、紙面を通して利用の状況を相互に理解することで技術的交流を図ることとした。成果報告書では、実施されている研究開発45タイトルを掲載し、材料基礎からデバイス応用技術まで幅広いスペクトルをカバーしている。今後も、先端ICTデバイスラボをオープンイノベーション拠点とすることで、産学官交流の場として日本のデバイス技術の発展と新たな価値の創造に貢献していきたい。また、世界の研究開発情勢を鑑みながら、デバイス加工・計測技術を高度化する必要がある。図3右は、導入した最先端の微細加工装置で描いたNICTのロゴマークである。ナノメートルレベルの加工精度でおよそ2ミクロン角内にロゴがきれいに描かれていることがわかる。将来の超高速光・電子デバイス等の極限的な性能向上を目指すには、ナノメートルレベルの非常に微細で正確な加工技術が必要になると考えており、先端ICTデバイスラボではこのような先駆的な加工技術・装置を順次整備していく計画である。2.環境・安全管理と研究者育成先端ICTデバイスラボは、施設利用者がそれぞれの研究開発業務に専念できる環境の実現を目的とし、専門知識を有する職員等を適切に配置し、施設や装置の運営業務を実施している。具体的には、法令順守活動、ISO14001の継続的取得、化学物質や高圧ガス等の適正管理、各種ユーティリティの管理、実験装置等の管理・高度化、作業環境のリアルタイム監視とインシデント対応などその業務は多岐にわたり、NICT内外の研究者が安心して研究活動に専念できる環境づくりを心がけている。このような運営活動や環境への取組は、図4左に示す「環境報告書」としてNICT Webサイト上で情報発信している。また、化学物質や高圧ガス等の安全管理や法令順守の状況を定期的にチェックしており、NICT内部の監査体制による調査はもちろんのこと、ISO14001に沿った外部審査(図4右)を実施することで「外部の目」による監視の元で、適切な運用を進めている。さらに、これらの活動によって蓄積された様々な運用ノウハウをNICT内で展開する試みを進めている。令和3年度は総務部や経営企画部と連携し、NICT研究職員向けに「危険有害性化学物質・高圧ガス等の取扱いに関する講習会」、施設利用者へはデバイスの研究開発が環境に与える影響等について「ラボ新規・継続利用講演会」を実施した。これらの講習会は若手デバイス研究者の育成やNICT職員等の安全啓発につながると期待している。先端ICTデバイスラボは、施設・装置の運用で発生する各種問題に真摯に向き合いながら、NICTのみならず産業界・アカデミアのデバイス研究者が最高のパフォーマンスを発揮できる環境提供を目指している。これらの活動が日本のデバイス研究分野の発展に貢献することを期待し、NICT内外の関係者とコミュニケーションを取りながら、よりアグレッシブな運営を進めていきたい。デバイス基盤技術システム基盤技術革新的な社会インフラ基盤Beyond 5G:光ネットワーク、光・電波融合ネットワーク、ミリ波・テラヘルツ波通信ネットワーク等新デバイスが新システム構想へシステム需要によるデバイス開発高度化高度で魅⼒的な未来の社会システムSociety 5.0: Cyber Physical Society高度化図2 先端ICTデバイスラボが目指す研究開発の方向性図4活動概要を記載した環境報告書(左)とクリーンルーム内の安全性評価の様子(右)図3 施設を利用した研究成果報告書(左)とデバイス加工技術の高度化(右)3.2 ネットワーク研究所

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