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453●革新的ネットワーク分野した。■主な記事1.特筆すべき研究成果(1)OFC2021(令和3年6月6~11日、オンライン開催)において、2件のポストデッドライン論文に採択光通信分野・ネットワーク分野のトップカンファレンスである光ファイバ通信国際会議 (OFC: Optical Fiber Communication Conference)において、2研究室の論文が高い評価を得て、ポストデッドライン(Postdeadline:特別設定の締切りを設けた、世界最高峰の成果が競合する国際会議内での最難関セッション)論文に選出された。(2)世界記録更新、4コア光ファイバで毎秒319テラビット・3,001 km伝送達成フォトニックネットワーク研究室では、研究開発用の標準外径(0.125 mm)4コア光ファイバを用い、波長多重技術と2種類の光増幅方式を駆使した伝送システムを構築し、毎秒319テラビット、3,001 km伝送実験に成功した。この結果は、伝送能力の一般的な指標である伝送容量と距離の積に換算すると、毎秒957ペタビット×kmとなり、標準外径光ファイバの世界記録となる(図3)。(3)ミリ波無線受信機を簡素化する光・無線直接伝送技術の実証成功光アクセス研究室は、民間企業、大学との共同により、2つの要素技術を組み合わせた新たなミリ波受信技術を開発し、周波数101 GHz・毎秒70ギガビットを超える高速ミリ波無線信号を光ファイバに直接伝送することに成功した(図4)。2.NICTが主催するシンポジウム等(1)国際シンポジウム EXAT 2021の開催令和3年11月3~5日にNICTと電子情報通信学会光通信インフラの飛躍的な高度化に関する特別研究専門委員会(EXAT 研究会)が共催して、The 6th International Symposium on Extremely Advanced Transmission Technologies (EXAT 2021)をオンラインで開催した。EXAT研究会は、3M(マルチコア、マルチモード、マルチレベル変調)と呼ばれる次世代の光通信インフラ研究において国内外で主導的な役割を果たしている。国際シンポジウムは、これまで5回開催され、空間分割多重(SDM) 技術や光通信技術に関する情報交換や社会実装の促進を目的とした EXAT 研究会の活動の中でもハイライトのひとつとなるもので、世界的に著名な研究者が最新の研究結果を発表する。今回のシンポジウムでは、国内外から初めて150名を超える参加者が集まり大変盛況で、基調講演 2 件を含む21件の招待講演が行われた。また、ポスターセッションでは、参加者が約1時間にわたり発表者らと詳細な議論を交わすことができ、SDM 関連の研究プロジェクトや、この分野における最新かつホットな研究トピックの概要を参加者間で共有することができた。(2)国際研究集会 IWOO 2021の開催令和3年12月8日に、NICT と中国の清華大学の共催で、第16回光信号処理及び光交換国際ワークショップ(16th International Workshop on Optical Signal Processing & Optical Switching (IWOO 2021))を開催した。本ワークショップは、平成18年から日本と中国で会場を入れ替えて毎年開催しているが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、昨年に続きオンラインで開催した。参加者数は講演者を含め約50名で、基調講演や招待講演では著名な有識者から最新成果を発表していただいた。NICT からは、Beyond 5G に向けたアクセスネットワーク技術について講演した。今回は、将来のアクセスネットワークに関する PON (Passive Optical Network) 技術やコヒーレント技術、光ファイバ無線技術に関する講演が集まり、Beyond 5G の取組が中国でも加速している印象を受けた。また、昨年に続き、光コンピューティングに関する講演を依頼して、本会議が新しい光分野の開拓につながることを期待した。(3)来所者向け展示今年度は、金子総務大臣、衆議院議員、経済産業省や防衛装備庁の関係者を始め多数の方にご来訪をいただき、フォトニックICT研究センターの活動の概要を説明するとともに、研究成果の実物を手に取ってご覧いただく機会を得た。図3 4コア光ファイバ伝送実験による実験系の一部図4 無線受信機の構成3.2.3 フォトニックICT研究センター

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