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473●革新的ネットワーク分野光通信分野のトップカンファレンスである国際会議OFC2021において非常に高い評価を得て、最優秀論文(通称ポストデッドライン論文)の特別セッションに採択された。二つ目の実験は、電力制限がありながら大容量化が求められている海底ケーブル網への適用を想定し、標準外径4コア光ファイバと双方向ラマン増幅技術を駆使し中継増幅器を使用しない光伝送システムを構築し、372Tbps・213 km無中継伝送に成功した。本成果は国際会議OFC2022にて発表した。マルチコアファイバに対応した低損失光スイッチシステムを開発し、ファイバ間光スイッチングの実証に取り組んだ。格子状コア配置の12コアファイバ用のMEMSベースの低損失光スイッチを開発し、1入力4出力ポートのスイッチング動作を実証した。本成果は、光通信分野のトップカンファレンスである国際会議ECOC 2022にて発表した。また、モード制御技術の高度化に向けて、光学的にモード信号補償を実施する手法を提案した。事前推定されたモード分散量・結合量を元に、空間光変調器を用いた光学系でモード分散・結合を補償する技術に関する基礎的検討を実施し、特許出願を行った。2.光ネットワークリソースの動的再構成及び利用効率化技術波長資源の動的制御時のシステム動作安定化のためのハードウェアとして高線形性光増幅器を開発し、Cバンド帯における波長数の増減に対して線形的に利得応答することを実証し、本サブシステムを用いて200 km程度の光中継伝送システムを構築した。さらに、オープンソースのソフトウェアであるGNPyを用いて、本光中継伝送システムをモデルとした光伝送シミュレーションを実施した。従来、計算を行うための計算機資源を通信資源としても利用可能であることを示すために、計算機資源であるGPUによるデジタル信号処理(DSP)をベースとしたコヒーレント光伝送技術に取り組んだ。今回、光電変換器とGPUが設置されたサーバ、10,000 km光中継伝送システムを用いて(図3)、GPUによる1 Gbaud信号のリアルタイムコヒーレント光伝送の実証実験を行い、4-QAM変調方式による10,000 km伝送を含めた5種類の変調方式による長距離伝送に成功した。本成果を国際会議OFC2021にて発表し、計算機資源の有効活用の可能性を示した。3.短距離向け超高速光リンク技術 100Gbaud伝送に向けた強度変調-直接検波方式(IMDD)伝送技術を評価した。1,550 nm帯外部変調器(MZM)を用いて1,060 nm帯56 Gbps NRZ(Non Return to Zero)信号のシングルモードファイバ1 km伝送を実証し、等価処理による伝送後の波形信号の品質改善を実現した。また、NEDO「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/先導研究(委託)」プロジェクトにて、マイクロレンズアレイを介した10 chのVCSELアレイと光ファイバアレイの空間並列結合技術を開発し(図4)、低損失接続を実証して1 Tbps(チャネル当たり100 Gbpsを想定)の伝送容量ポテンシャルを示した。金属開口型VCSELを用いて、46 Gbps NRZ信号と60 Gbps 4値パルス振幅変調信号の伝送を実証した。GPUベースDSP光送信器光受信器長距離光中継伝送システム(10,000km=太平洋横断級)サーバー図3 GPUによるデジタル信号処理を用いた10,000級長距離コヒーレント光伝送実験系VCSELアレイファイバアレイマイクロレンズアレイ図4 VCSELアレイと光ファイバアレイの空間並列結合技術05001000150020002500300035000200400600伝伝送送容容量量伝伝送送距距離離2020年年世世界界記記録録(NICT)今今回回のの成成果果[テラbps][km]3001km319 テラbpsシシンンググルルココアアママルルチチモモーードドシシンンググルルココアアシシンンググルルモモーードド非非結結合合型型ママルルチチココアア結結合合型型ママルルチチココアア図2標準外径光ファイバの伝送容量距離積の記録3.2.3 フォトニックICT研究センター

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