573●革新的ネットワーク分野共有にもクラウドが使われている。しかし、災害の場面では通信が不安定なケースが多くあり、情報共有に支障が生じる。そこで、通信が不安定な環境であっても、あたかもクラウドサービスを使い続けているかのように、各ノードが持つ計算機資源や通信資源をノード間で共有し、仮想的なエッジクラウド機能を提供し続けることができる自己産出型エッジクラウド技術の研究に取り組んでいく(サステナブルICTシステム研究室)。世界をレジリエントにするICTについては、様々な環境計測データの複合解析と可視化の研究に取り組んでいる。モバイル回線でも高精細な映像を低遅延で伝送できる映像IoT技術と、超低周波音(インフラサウンド)のセンシング技術をコアに、時空間データGISプラットフォーム(NICT総合テストベッド研究開発推進センター)にデータを集約して複合解析と可視化を行うレジリエントな自然環境リアルタイムモニタリング基盤技術を研究開発していく。これは、火災、噴火、河川氾濫、降雪等を含む災害の検知に加え、発生位置の同定、追跡、発報なども行えることを目指して将来の実現が期待される地域レジリエンス情報基盤のコアになるものと考えている(サステナブルICTシステム研究室)。これらの技術の実証を東日本大震災の被災地である宮城県女川町、南海トラフ地震に備える和歌山県白浜町、九州地方の火山、スリランカの地滑り地域やネパールの山岳地域で進めているほか、民間企業と共同で高知県香南市の防災情報通信・管理システムの導入を進めている。耐災害ICT研究協議会を運営して災害に強い情報通信ネットワーク導入ガイドラインを策定・改訂したり、国際電気通信連合(ITU)などに情報提供したりするなど、技術標準に向けた活動も継続していく(企画連携推進室)。3.令和3年度のセンター内横断活動の例レジリエントICT研究シンポジウム2022開催今年度から新たに開始された第5期中長期計画に基づく本研究センターの取組紹介を中心とする構成で、令和4年2月22日(火)に「レジリエントICT研究シンポジウム2022~世界をレジリエントにするICT~」をオンライン開催した(主催:NICT、耐災害ICT研究協議会)(図2)。約340名に対して当研究センターのビジョンや前述の4つの研究開発テーマ、そして2つの連携機関の取組を紹介し、社会基盤としてのレジリエントな通信環境とその研究の重要性を認識してもらう機会を提供した。講演資料の閲覧と講演映像の視聴が現在も可能である。https://www.nict.go.jp/resil/4.高知県香南市「防災情報通信・管理システム」の設計・評価内閣府SIP第2期課題「国家レジリエンス(防災・減災)の強化」等で研究開発してきた、通信途絶地域でもエッジノード同士が近接通信により情報を同期共有できる「接近時高速無線接続技術」(民間企業との共有知的財産を含む)を搭載した防災情報通信・管理システムを高知県香南市が導入途中である(民間企業が実装して導入)(図3)。当センターは同システムの設計と評価を民間企業と共同で同市から受託し、 通信エリアや通信性能の計測や取りまとめを行うなどして導入に貢献した。図2 レジリエントICT研究シンポジウム2022の模様図3 高知県香南市の防災情報通信・管理システム3.2.5 レジリエントICT研究センター
元のページ ../index.html#65