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613●革新的ネットワーク分野キテクチャの研究開発に取り組んだ。具体的には、基本機能となるオーケストレーション機能の分散化手法を設計し、この機能を汎用コンテナツールによって実装し、3台のノードによる構成において、いずれかのノードに障害が起きても、残りのノードが持つ情報通信資源を活用してサービスを再構成し、継続できることを確認した。関連する研究成果として、クラウドサーバ群、エッジサーバ群、ユーザ近傍ノード群から構成される分散エッジクラウドを対象として、クラウドサーバへの通信回線が途絶した場合でも、クラウドサービスを継続利用とする手法を開発し、国際会議IEEE ICC2022ワークショップへ投稿した。また、大学との共同研究を通じて、高速なノー ド間相互認証を行い、相互のデータ交換を実現する接近時高速無線接続技術を自動車間のすれ違い通信へ適用し、従来技術と比較して、相対速度80km/hにおいてデータ転送量を10MB 以上増加できるフィールド実証結果について、IEEE Accessに採録された。さらに、内閣府戦略的イノベーション創造プログラムを外部機関とともに受託し、政府等が災害時に情報共有を行うクラウドファイルシステムSIP4Dを対象として、クラウドとの通信回線が途絶する環境においても利活用可能とする「ポータブルSIP4D」の開発に向けて、基本機能であるSIP4D代行機能の開発を完了した。2.レジリエント自然環境計測技術インフラサウンド(周波数20 Hz以下の可聴域下の長周期音波)センサーデータと気象及び地理に関するデータを併用した音波伝搬シミュレーションコードの試作を進めるとともに、スパコンによる大規模並列計算環境を整備した。また、高解像度3次元時空間地理情報システム上へ、インフラサウンドセンサーによる観測データを可視化するツールを開発した。インフラサウンドセンサーを新たに宮城県内3か所に設置し、日本気象協会内Webサイトにおいて宮城県内計4か所の観測データを研究目的で公開した。トンガ海底火山噴火に起因する空振と思われる観測データについては、複数の大学・研究機関において活用された。映像IoT情報の可視化技術として、悪条件下(夜間・霧・強風・降雨等)における映像からの状況把握性能の向上に向けて、汎用ネットワークカメラ映像から機械学習を用いて、移動体(車両)または煙の検出を目的としたツールを開発し、それぞれ80%以上の検出率を達成した。エナジーハーベスト技術による電源自立性に配慮した高耐候・省電力IoTモジュールとして、太陽光バッテリーと燃料電池を主電源とするIoTモジュールセンサーシステムを開発し、大学との共同研究を通じて、実フィールド(活火山周辺)において7週間にわたる自立運用(映像・インフラサウンド・気象に関するデータ取得と取得データの送信)が行うことができることを確認した。また、上空通信の低ロス性やLPWAの多重化を活用した通信技術に関する研究開発として、非地上系ネットワーク(Non-terrestrial Network: NTN)を用いたIoT向け小サイズデータ伝送に関して、GNSSによる端末間時刻同期を活用した多元接続手法を開発し、計算機シミュレーションによって、Sバンドを用いた低軌道周回衛星を用いて10台以上の端末との同時通信が行うことができる可能性を示し、国際会議IEEE VTC-fall2021に採択された。SIP4D代⾏機能を開発伝送データ量の分布平均25MB平均35MB相対速度80km/h⾞両間すれ違い通信において転送データ量を10MB向上通信途絶地域からSIP 4Dへのアクセスを可能に図2 接近時高速無線接続(左:車両間すれ違い通信への適用、右:「ポータブルSIP4D」の開発)⿅児島東京宮城19:30 20:00 20:30 21:00 21:30 22:0022:303002001000-100Pressure [Pa]縦軸は移動平均値からの差分を記載計測モジュールの外観トンガ海底火山噴火に伴う空振計測データMEMSセンサ小型計測モジュールによって空振を多地点で計測図3 インフラサウンド計測モジュール(左:空振に起因する計測データ、右:モジュールの外観)3.2.5 レジリエントICT研究センター

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