HTML5 Webook
70/372

62■概要大規模障害や災害等に対して、広域トランスポートネットワークに影響をもたらす、光ファイバ網特有の物理現象に由来する潜在的な故障源等を検知・予測するテレメトリ技術と、性能低下抑制のための適応制御の基盤技術を確立する。また、平常時/災害・大規模障害時における通信・計算基盤を連携し、クラウドエコシステムにおける構成調整の弾力化と障害復旧の迅速化を目指して、異種トランスポート網の高度な相互接続・統合利用を促進するための、ネットワーク資源のオープン化、需給均衡、通信・計算資源の連携等の基盤技術を確立する。■令和3年度の成果1.光ネットワークのテレメトリ・制御高度化技術の研究開発通信ネットワークを利用するサービスの普及に伴い、基幹部分である光ネットワークでは、様々な障害に対してロバストに接続性などを維持する頑強性を高めることが重要である。光ネットワークでは、光ファイバ切断などのハード障害に加えて、特有の物理的な現象に由来する障害も起こりうる。そのため、潜在的な故障源などの早期検知・予測するテレメトリ技術と、それに対してパフォーマンスを維持するための制御高度化技術の研究開発を進めている。令和3年度は、光信号の時系列物理パラメータを取得するテレメトリ技術を用いたシステム開発を実施した。また、カスケード障害事例として、図1(a)に示すような障害予防実験を実施した。マルチコアファイバにおいては、光パスの設定状況が変動した場合、隣接コアを流れる既存光パスへ影響を及ぼすクロストークも変動する。その結果、図1(b)に示すように、経時変化や更なる環境変動によりスループットが大幅に低下することが起こり得る。一方で、これまでに開発を進めてきたバーストモード光増幅器(BM-EDFA)を用いた場合、図1(c)のようにスループットの低下を抑制することが可能であることを明らかにした。2.ネットワーク資源のオープン化による相互接続基盤技術の研究開発異種ブレードベンダ異種システムインテグレータ光ネットワーク、異種トランスポートネットワークの高度な相互接続・統合利用を促進するための、下位層光ネットワーク及び上位層パケットトランスポートネットワーク資源のオープン化基盤技術を確立する。令和3年度は、まず下位層光ネットワークの実証実験を行った。光ネットワーク資源のオープン化による相互接続基盤技術の研究開発において、光装置多様性に対応する必要がある。産業技術総合研究所、KDDI総合研究所と連携し、光装置の多様性に柔軟に対応するFunctional Block-based Disaggregation(FBD)(産総研開発)に基づく(b)スループット測定結果(EDFAの場合)障害発生障害発生(c)スループット測定結果(BM-EDFAの場合)図1 テレメトリシステムを用いた模擬障害実験とバーストモード光増幅器による性能劣化抑制切断障害信号(20波⻑, コア#2)A1B1C1A2B2C2マルチコアファイバ隣接コア光パス(1波⻑, コア#1)スイッチスイッチコア#2コア#11.ファイバ切断障害を模擬2.ハード障害によりコア#2において光強度変動発生3.コア間クロストークの増加残存光パス(5波⻑, コア#2)4.隣接コアを流れる光信号の品質が低下(コア#1)送信側受信側(a)EDFA、または(b) BM-EDFAOSNR等測定時間波長光強度(a)実験概要3.2.5.3ロバスト光ネットワーク基盤研究室室長(兼務)  淡路 祥成光ネットワークのレジリエンシー向上に向けて

元のページ  ../index.html#70

このブックを見る