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713●サイバーセキュリティ分野リティ課題解決のため、インターステラテクノロジズ株式会社と法政大学との共同研究で、2021年7月31日の観測ロケットMOMOの打ち上げでダウンリンクの実用無線通信に成功した(図2)。本成果は2021年8月17日に報道発表し、情報処理学会 第84回全国大会 IPSJ-ONE 2022にて招待講演を実施した。また電気通信大学との共同研究において、階層型IDベース暗号における鍵失効を標準的仮定の下で実現する方式を提案し、論文誌Designs, Codes and Cryptographyに採録された。また筑波大学との共同研究では、ブロックチェーンを利用した封印入札オークションにて、入札額上限を明かさずに資金拘束が可能な方式を提案、実装評価を行い、国内会議CSS2021にてCSS奨励賞を受賞した。2.量子コンピュータ時代に向けた暗号技術の安全性評価・デジタル庁、総務省、経済産業省及び独立行政法人情報処理推進機構(IPA)と連携して行っているCRYPTREC*1において、RSA 暗号及び楕円曲線暗号の鍵長に関する指標を提示した。さらに、耐量子計算機暗号ガイドライン及び高機能暗号ガイドラインの作成を開始し、令和4年度末に公開する予定である。平成28年度に公開された「CRYPTREC暗号技術ガイドライン(軽量暗号)」で紹介された暗号方式を含む代表的な軽量暗号の安全性評価に関する動向調査を実施し、技術報告書としてまとめた。また、ディジタル署名EdDSAの実装性能評価を実施し、CRYPTREC暗号リストへの新規追加候補として問題が無いことを確認した。・耐量子計算機暗号である多変数公開鍵暗号の解読アルゴリズムとして利用されるグレブナー基底計算アルゴリズムを改良することで解読の計算コストの削減に成功し、多変数公開鍵暗号の安全な暗号パラメータの見積もりに貢献した。本成果はJSIAM Lettersに採録された。・D-Wave、IBM Quantum*2などの量子コンピュータを利用できる環境を整理するとともに、学校法人慶應義塾(慶應義塾大学)、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、株式会社みずほフィナンシャルグループ(MHFG)と協力して、量子コンピュータを用いた場合に2048ビットRSAが危き殆たい化する時期を評価した(図3、4)。また、この成果をCRYPTRECやNICTの量子ICT人材育成プログラム「NICT Quantum Camp(NQC)」にフィードバックした。・5Gとテレワーク時代における暗号技術の安全性評価として、ビデオ会議システムWebexなどで採用されるE2EE技術SFrameに対する安全性評価を兵庫県立大学、日本電気株式会社と共に実施し、3件の脆弱性を発見するとともに、脆弱性を悪用した3件の攻撃手法とこれらの攻撃への防御対策について提案した。本成果は国際会議ESORICS 2021に採録された。ビデオ会議システムZoomのE2EEに対して安全性評価を兵庫県立大学と共に実施し、6件の脆弱性を発見するとともに、脆弱性を悪用した8件の攻撃手法とこれらの攻撃への防御対策について提案した。本成果は国際会議ACISP 2021と論文誌IEEE Accessに採録され、CSECにて招待講演を実施した。図2開発技術のプロトタイプ通信装置と実験期間中の機体高度とパケット受信状況図3 量子コンピュータを用いた暗号解読に利用した実際の回路図4量子コンピュータの解読結果と事前のシミュレーションとの比較*1CRYPTREC: Cryptography Research and Evaluation Committees、電子政府推奨暗号の安全性を評価・監視し、暗号技術の適切な実装法・運用法を調査・検討するプロジェクト*2D-Wave、IBM Quantum: 研究開発等に利用可能な商用量子コンピュータ3.3 サイバーセキュリティ研究所

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