next page▼蟹江 憲史(かにえ のりちか)慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 教授蟹江憲史氏は、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科にて博士学位を取得され、現在、日本政府SDGs推進本部円卓会議構成員、内閣府地方創生推進事務局自治体SDGs推進のための有識者会議委員、Earth Commission委員などを務め、国際的、国内的にSDGsや環境問題を中心にご活躍中です。2023年Global Sustainable Development Report執筆の15人の独立科学者の一人にも選出されています。現在、国連のSDGsに携わっていらっしゃる関係でワシントンD.C.にお住まいのため、リモートでの対談となりました。徳田 英幸(とくだ ひでゆき)国立研究開発法人情報通信研究機構 理事長1983年、大学院博士課程修了。その後、カーネギーメロン大学計算機科学科研究准教授を経て、1990年に慶應義塾大学兼任、1996年環境情報学部教授。慶應義塾大学常任理事、環境情報学部長、大学院政策・メディア研究科委員長等を歴任。主に、ユビキタスコンピューティングシステム、オペレーティングシステム、分散システム、サイバーフィジカルシステムに関する研究に従事。2017年に国立研究開発法人情報通信研究機構理事長に就任。現在、慶應義塾大学名誉教授、日本学術会議連携会員、情報処理学会会長、B5G推進コンソーシアム副会長、情報処理学会フェロー、日本ソフトウェア科学会フェロー、IEEE東京支部理事等を務める。SDGsとICTは非常に親和性が高い――現在、様々な分野でSDGsは必ず配慮しなければならないテーマとなっています。特に「ICT分野におけるSDGs」を考えた場合のポイントはどのようなところにあるでしょうか。蟹江 SDGsは、2015年に「国連持続可能な開発サミット」で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中核を成しているものです。最も重要なポイントは、タイトルにある「(世界を)変革する」というところだと思います。「社会を大きく変えていく」原動力になり得るICTは非常にSDGsと親和性が高く、その役割が重要だということは、最初に言えると思います。「SDGsは目標だけの体系である」というのも大きなポイントです。どのように達成するかのルールは定められていないため、自由に目標達成に向かって行ける一方で、その進捗をできるだけ正確に評価する必要がある。その測定と評価を担う技術として、ICTの役割は重大です。また、SDGsには17の目標がありますが、これらは独立したものではありません。企業の報告書などで「この項目に注力しています」などと個別にピックアップされていることもありますが、実際には全項目を一体不可分のものとして達成すべきということは、アジェンダでも繰り返し書かれています。そして、すべての項目の情報をまとめ、総合的に判断することにおいても、ICTの役割は欠かせません。徳田 今のお話を聞いても、ICTの役割は大切であるし、その経済的発展のみを目指すのではなく、人々の自由・公平な生活や環境の保全などに配慮した、「持続可能な開発」を目指そう――2030年に向け、国連サミットで2015年に採択された具体的目標がSDGs(持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals)」である。SDGsにおいて情報通信技術(ICT)はどのような貢献ができ、また何を目指すべきなのか。慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科の蟹江憲史教授と徳田英幸理事長に対談をしていただいた。SDGs達成への道のりにおける情報通信技術の役割特別対談蟹江 憲史 徳田 英幸かにえ のりちかとくだ ひでゆき1NICT NEWS 2022 No.3
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