応用領域研究室のワイヤレス通信応用プロジェクトでは、災害に強いICTプラットフォームを実現するため、広範囲に分散配置されたネットワーク設備が自律的に協調動作するメッシュネットワーク技術や、通信衛星や自動車といった、より広範囲な移動体上のワイヤレス通信でも断絶が起きにくい“柔軟な”ワイヤレスネットワークを実現するための技術、および、その利活用の研究をしています。
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■概要
■到達目標
- メッシュネットワークの一部が機能を停止しても、ネットワークの残存部分や衛星、自動車等との連携によってネットワーク機能が最大限維持されることで、通信ができない地域を少なくする技術を開発し、その性能を防災訓練等で実証します。
- 大規模災害が起こった際、取扱いが容易で確実に動作する衛星通信システム実現のために開発した、移動可能な地球局による実証実験を行うと共に、関連技術の研究開発を実施します。
- 効率的な電波利用による省電力通信方式の開発や、メッシュネットワークの各所にセンサーを配置したセンサーネットワークによる地域ICTへの利活用に向けた研究開発を実施します。
■和歌山県白浜町における地域実証実験
開発したメッシュネットワークシステムを和歌山県の白浜町に設置し、通信ネットワークとしての性能実証実験を実施しています。本システムは、「情報通信ステーション」を無線回線で網の目状につないで構成し、特定箇所に通信が集中しにくく、回線の切断や、設備の一部が損壊しても残りの設備で通信を維持できるものとなっています。白良浜、千畳敷、南方熊楠記念館付近、白浜町役場の4か所にはWi-Fiエリアを設けてインターネットへも接続が可能となっており、平時においてはサイネージによる地域情報配信、観光客/住民へのインターネットアクセス、カメラや各種センサーによる弱者見守りなど地域社会基盤の要としての多目的な利用を目指しています。
■宮城県女川町における地域ICT実験基盤
宮城県の女川町に、自営ネットワークの地域産業への活用を検証する地域ICT実験基盤を構築しました。町役場を起点として、災害発生時の要所となる地域医療センターや勤労青少年センター、東北大学女川フィールドセンターを結ぶとともに、同フィールドセンターの取水施設近くに水中マイクロホンを設置し、船舶の発する音をモニターすることで、密漁等を目的とした不審船の自動検知に向けた研究を推進しています。また、養殖場における水温や塩分濃度などのセンサー情報を陸上からでも常時監視するためのネットワークシステムの開発を行っています。