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小室 純一 |
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嘉永7年(1854年)にペリー提督が幕府に献上した、2台のエンボッシング・モールス電信機は日本最古の電気通信機で、平成9年6月に重要文化財として指定されました。「FOR THE EMPEROR OF JAPAN」(日本国皇帝へ)と刻印された銘板が中央に張られた収納箱や、彫刻が施された本体台座からは、重厚な印象を受けます。 しかし、日本に持ってこられてから1世紀半近く経っているため部品の欠落や破損が激しく、郵政研究所若井登客員研究官(元電波研究所所長)らが中心となって機能部分の修復を手がけ、同氏が電気部分の修復を実施しました。当所の試作開発係では機械部分の復元作業に平成11年8月から13回にわたる打ち合わせをしながら技術協力を行い、欠品や変形してる部品を、古い文献や資料を参考に製作・修理しました。製作したものは、りん青銅製コイルスプリング、錘巻き上げハンドル、ねじ、駆動力用錘など18品、修理・矯正したものはコイルスプリング調整マスト、紙ロール固定用ネジなど5品でした。ねじは大きさ、ピッチともすべて現代とは違う規格で作られており、専用の小径の内ねじ切りバイトを製作して対処するなど特殊技術を要しました。この度機能的な修復を完了し、東京、大手町の逓信総合博物館において、通信実演を行いました。 稲森出版係長と薮馬氏(元通信総合研究所職員)を通信士として、2台を対向させて通信実演が行われました。電源としてダニエル電池に代えてAC電源を用いているほかはすべて当時と同じ姿で動き出した電信機は、当時の日本開国の生き証人であり、そのカタカタという音はぺリー提督が鎖国の扉をたたいた音でもあります。文明開化がデジタル通信の電信から始まり、現代が携帯電話やインターネットなどに代表される情報通信の時代と呼ばれていることに、時間を超えた繋がりを感じました。
同機は今後引き続き工芸部分の修復に入るため、当分の間は一般公開されませんが、レプリカは逓信総合博物館で見学できます。 (企画部技術管理課試作開発係長)
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