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宮澤 義幸 |
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無線機器の型式検定は、タイタニック号の遭難などを契機に、遭難時の通信を確保するために、国際的に統一規格で試験をしたものを船に装備することを決めたことに由来するものです。現在は、国連の下部組織であるIMO(国際海事機構)で決定した国際条約(「海上における人命安全条約(SOLAS条約)」に基づき実施しています。 1995年のIMO総会において、船における電子機器の密集度が増したことにより地磁気コンパスへの影響がふえたことから、船に装備する電子機器等は、国際電気標準会議(IEC)が決めた環境条件(60945)を満たすことが新たに決定されました。このことから、新たな環境試験として電磁環境試験設備や「地磁気コンパスに対する安全距離試験」設備が必要となりました。 地磁気は世界中でその分布が違い、日本では約30μT(マイクロテスラ)となっています。このため、地磁気コンパスに対する安全距離に関する試験では、世界中の地磁気の分布に対応する条件を作り出すことが必要となります。 また、無線機などが輸送中に強く磁化されてしまうことを想定して、IECでは1800μTという強い磁界で1方向に修正した後に測ることとしています。 以上のことから本施設では、強磁界コイル用屋外設備と3次元で地磁気を制御する計測室で構成されています。 【強磁界コイル「IEC60945,11.2.2,b対応設備」(写真1)】 直径5mのヘルムホルツコイルを2.5m間隔で設置し、1m3の機器を交流及び直流で磁化するための装置であり、民生品では世界最大で唯一の装置です。 交流は6600vを加え、1800μTを作り出します。 直流は200vで100μTを作り出します。 【地磁気環境計測室「IEC60945,11.2.2,a〜c対応設備」(写真2)】 コンパスに対する影響を計測するため、6m角の木製の外枠を持ち、6面をヘルムホルツコイルで囲み、3次元で制御可能となっています。また、6〜30μTの任意及び固定の地磁気環境を作り出すことができるので、地球上のほぼすべての地域での磁場環境を再現できます。また、南北の磁極を考慮して極性反転ができる構造となっています。 計測室内には距離を変えることができる計測装置及び試験する機器を乗せるターンテーブルがありますが、鉄では測定に影響を与えるため、その駆動にはエアーモータを使用しています。 (標準計測部 測定技術課 審査認証係長) |
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