我々が新たに開発したシステムは、各研究機関の研究者が自分の机を離れることなく、自分が普段使っている計算機上で資料を示したり、メモをとりながらディスカッションのできる卓上仮想研究システムです。ネットワークで共有している白板の上に表示できるのは相手の計算機にとりつけられたカメラがとらえた画像の他にも、プレインテキストやhtml形式の文書、jpeg,
gifなどの一般的な形式の画像です。白板に張りつけられた情報は一つのオブジェクトとして共有されているため、ユーザは必要に応じてマウスやキーボードによってオブジェクトを自由に加工し、同じ画面
を見ながら協調作業を行うことができます。図4に実際の会議の様子を示します。
現在、CRL(陸別、小金井)、東北工業大学(仙台)、福岡大学(福岡)との間で試験運営中です。更に名古屋大学(名古屋)、国立環境研(つくば)も加えて最大8人の研究者の間でのキャンペーン観測や定常的な研究打ち合わせを行って、ネットワークの必要帯域、遅延時間などの評価を行う予定です。また、極域でのオゾンホール生成メカニズムを調べるために、冬季にライダー、パーティクルカウンター、ミリ波分光計などを用いて大気観測を行い、取得したデータをオンラインで会議参加者が見ながら解析、議論を行うキャンペーン観測を計画しています。
この試みが、ネットワーク時代の新しい研究スタイルを切り開き、世界の地球環境研究にインパクトを与えるものと期待されます。
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