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最新のワイヤレス通信技術と研究開発に特化した技術セミナーおよび展示会 ワイヤレス・テクノロジー・パーク2013 開催報告 ワイヤレスネットワーク研究所 企画室

多くの来場者でにぎわうNICTブース
多くの来場者でにぎわうNICTブース

NICTは、YRP研究開発推進協会およびYRPアカデミア交流ネットワークと共同で、「ワイヤレス・テクノロジー・パーク(以下、WTP)2013」(2013年5月29~31日、東京ビッグサイト http://www.wt-park.com/)を開催しました。

WTPは、最先端のワイヤレス技術を発表する「展示会」、無線通信のトレンドに焦点を当てた「セミナー」、および大学研究室の研究発表の場である「アカデミアセッション」の3つの柱で構成され、ワイヤレス関連の技術者および研究開発者が集まるビジネスマッチングの場として開催される無線技術の研究開発に特化した一大専門イベントです。開催8回目を数える今年は、展示会では、ワイヤレス通信の最新技術の「通常展示」の他、平成23年度総務省所管第3次補正予算による研究開発成果を中心とした安心・安全なネットワークを構築するための情報通信技術展示「信頼できる社会インフラに役立つワイヤレス技術パビリオン」、ワイヤレス関連市場の期待が高まる「ワイヤレス電力伝達ゾーン」等が来場者の関心を集めました。NICTの展示は、ワイヤレスネットワーク研究所、耐災害ICT研究センター、光ネットワーク研究所およびユニバーサルコミュニケーション研究所から研究所・センターの紹介および最新の幅広い研究成果11件を出展し、多くの来場者の方々にご覧いただき、様々な角度から質問やコメントをお寄せいただきました。

テーマ別の12コースから成るセミナーでは、産学官の専門家から計59件の講演をいただき、NICTからは、ワイヤレスネットワーク研究所長の門脇直人が「中長期的な耐災害ICT研究開発について」、宇宙通信システム研究室長の豊嶋守生が「光宇宙通信の研究開発動向と今後の展望」、スマートワイヤレス研究室長の原田博司(Wi-SUNアライアンス 理事会共同議長)が「Wi-SUNアライアンスにおける今後の計画と戦略」および国際推進部門標準化推進室マネージャーの黒田正博が「ITU/WHO e-Health国際標準とポータブルヘルス・リバースイノベーション」の発表を行いました。約半数のセミナーでは事前予約の受付を開始して間もなく満席となり、注目の高さがうかがえました。そのほか、出展社プレゼンテーションには企業5社、アカデミアセッションでは19件の発表、ポスターセッションにおいては8大学の13研究室から22件の発表がありました。

WTP2013の受付者数は3日間で延べ10,616人と過去最多であり、ワイヤレスジャパン2013と合わせると43,000余人となり、これは昨年のWTP2012の5倍以上を記録しました。NICTブースでは来場者が入りきれない場面も見られ、大盛況でした。来年はより一層充実した、より興味を持っていただける内容で開催できるよう努めてまいります。

「信頼できる社会インフラに役立つワイヤレス技術」コースで講演する門脇ワイヤレスネットワーク研究所長「信頼できる社会インフラに役立つワイヤレス技術」コースで講演する門脇ワイヤレスネットワーク研究所長

「次世代無線通信システム」コースで講演する豊嶋宇宙通信システム研究室長「次世代無線通信システム」コースで講演する豊嶋宇宙通信システム研究室長

「Wi-SUNアライアンスの概要とその導入事例」コースで講演する原田スマートワイヤレス研究室長「Wi-SUNアライアンスの概要とその導入事例」コースで講演する原田スマートワイヤレス研究室長

「デジタルヘルス」コースで講演する国際推進部門黒田標準化推進室マネージャー「デジタルヘルス」コースで講演する国際推進部門黒田標準化推進室マネージャー

NICTの展示内容

●コグニティブ無線/ホワイトスペース通信技術を用いた無線通信インフラの構築●コグニティブ無線/ホワイトスペース通信技術を用いた無線通信インフラの構築地デジ周波数帯(470~710MHz)を二次利用するための情報を提供する「ホワイトスペースデータベース」、データベースと連携動作可能な「ホワイトスペース無線基地局」および「最適なインターネット接続を提供するコグニティブ無線ルータ」のデモンストレーションを実施。

●マルチサービス対応型SUNスタック構成技術●マルチサービス対応型SUNスタック構成技術IEEE802.15.4gをベースとする国際標準規格Wi-SUNに準拠した920MHz帯小型・省電力無線機を展示。放射線量計との接続実証に加え、誤り制御や省電力MAC等のWi-SUN仕様を、用途に応じ選択的に実装するデモを実施。さらに同無線機を用い、HEMS用標準無線通信プロトコルであるECHONET LiteのWi-SUN準拠無線機による世界初の実施例を公開。

●60GHz帯ミリ波高速無線映像伝送システム●60GHz帯ミリ波高速無線映像伝送システム60GHz帯マルチギガビット無線LAN規格IEEE802.11adに準拠した通信装置に、見通し外通信を可能とするビームフォーミングアンテナを組み込んだ高速映像伝送システムのデモンストレーションを実施。

●地上-衛星間での先進衛星通信を実現する宇宙光通信技術●地上-衛星間での先進衛星通信を実現する宇宙光通信技術電波より大量のデータ伝送ができ、機器の小型軽量化が可能で、消費電力が少なく、干渉が少ない等のメリットがある宇宙光通信を紹介し、光地上局運用シミュレータを展示。

●災害時に役立つ地上・衛星共用携帯電話システム(STICS)●災害時に役立つ地上・衛星共用携帯電話システム(STICS)周波数の有効利用や非常災害時の通信提供を同時に実現する地上・衛星共用携帯電話システムを紹介し、共用システムを模擬した災害発生時の通信シミュレータでのデモンストレーションを実施。

●衛星センサネットワーク -津波の早期検出を目指したETS-Ⅷを用いた海上ブイからのデータ伝送-●衛星センサネットワーク-津波の早期検出を目指したETS-Ⅷを用いた海上ブイからのデータ伝送-津波の早期検出等に役立つ海上ブイを、技術試験衛星Ⅷ型(ETS-Ⅷ、「きく8号」)を用いて通信することにより、沖合への設置を可能とし、より早期の津波検知を可能とする技術および実験結果を紹介。

●いざという時にも頼りになる街の無線ネットワーク●いざという時にも頼りになる街の無線ネットワーク災害時等に部分的に損壊しても途切れず、基幹網との接続が途切れてもローカルで通信を維持できるワイヤレスメッシュネットワークの耐災害ICT研究テストベッドを紹介。

●ネットワーク途絶に緊急出動!-小型無人航空機を利用したネットワーク孤立地域との中継技術-●ネットワーク途絶に緊急出動!-小型無人航空機を利用したネットワーク孤立地域との中継技術-無線中継システムに使用する小型無人航空機と、搭載用無線中継機を展示し、孤立したネットワークを接続するシステムを紹介。

●Ka帯用移動体衛星通信基地局●Ka帯用移動体衛星通信基地局移動しながらでも超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS)を用いた通信ができ、災害時にも有効なフルオート小型車載地球局の実物を展示、紹介。

●対災害情報分析システム●対災害情報分析システム膨大な災害情報を効率的に集め横断的に統合・解析することでイベント間の関連性を発見し、平時・災害時の網羅的な状況把握に役立てることができる対災害情報分析システムを紹介。

●大規模災害に対応する光ネットワーク技術●大規模災害に対応する光ネットワーク技術災害時の重要通信の光パスを確保しながら輻輳を緩和する技術のほか、素早い暫定ネットワークの構築や経路切り替えを実現する技術、および損壊した光ネットワークの早期回復のための技術を紹介。

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